●テープイメージを作成する

XM7では、実際のテープをそのまま使用することはできません。テープのデータはXM7で取り扱えるT77フォーマットのファイルに変換する必要があります。

ディスクの時のD77フォーマットとは違いT77フォーマットはPI.さんが独自に設計されたものなので、PC88系エミュレータで使用されているT88フォーマットとは互換が無いので注意が必要です。T77フォーマットの仕様はPI.さんのホームページに掲載されています。

現時点ではT77ファイルを作成するにはXM7でテープイメージを作成する方法と、(私の作った)WAV2T77というツールを使ってWAVファイルとしてサンプリングした音声データからT77ファイルに変換する方法の2通りがあります。

また、katzusaさんからテープ作成時のコツをお寄せいただきましたのであわせてご紹介いたします。


●WAV2T77を利用して、カセットのデータをXM7で利用できるようにする

WAV2T77はWindows上での標準音声データであるWAVファイルから、XM7でカセットの代わりとして利用できるカセットイメージファイル(T77ファイル)に変換するためのユーティリティーです。

WAV2T77はApolloさん(あ。俺だ^^;)が作成したユーティリティーです。まだα版であるにもかかわらずWeb上で公開してしまう適当さが作者のいい加減さを感じさせます(つまり俺のことね)。バグレポート、「動いたレポート」などお待ちしております。

私は市販のカセットのゲームなどは持っていないので(昔はたくさん持ってましたが…)、テストにはFM-7の実機でセーブしたデータをDOS/Vのサウンドカードで取り込む方法でWAVファイルを作成しています。

実際には直接FM-7をDOS/Vに接続するのではなく、FM-7のセーブ音声をMDに保存し、MDで再生した音声をサウンドカードでサンプリングしています。

使用した機材は以下のとおりです

品名 型番 メーカー 備考
FM-NEW7 MB25015 FUJITSU FM-NEW7ってこんな型番だったんですね…
MD MD-M20 SHARP ポータブルMD
Line inはあるが、Line outはなし。Headphone出力あり。
サウンドカード SoundBlaster Live! Value Creative ポピュラーなアレです

XM7の掲示板で「MDは非可逆圧縮(ATRAC)だからデレコの代わりには使えないと思ってました」との発言がありましたが、そういえばそうですね。実際には問題なくT77ファイルに変換できてますので問題ないんでしょう(^^;  もしかしたら、テープのソフトがうまく変換できないという人は一度MDに録音してそれから変換するとうまくいったりするかもしれません(根拠なし)


●実際の手順

私がT77ファイルを作成したときの実際の手順について説明します。


1.MDとFM-7を接続する

自作のCMTケーブルをMDのLINE INに接続し、以下のコマンドを発行してMDにセーブデータを録音する。MDの録音レベルはデフォルトのままいじっていません。自作CMTケーブルはステレオミニジャックのRとLの両方のチャネルにセーブデータがつながるように配線しています(MDがステレオ録音のため)。

SAVEM"TEST",&H8000,&H8800,&H8000

これで、BASIC ROMの8000番地から8800番地までのデータがMDに録音(記録)されます。



2.MDとサウンドカードを接続する

MDのHEADPHONE端子とサウンドカード(SB Live! Value)のLine inをステレオケーブルで接続する。MDのボリュームは最大。


3.サンプリングする

Windowsアクセサリのサウンドレコーダなどを利用してMDに録音した音声をサンプリングする。PI.さんもXM7の掲示板に書かれていましたが、FM-7はモータON後しばらく回転安定待ち時間があるのでサンプリング時もいきなりヘッダが始まるようにサンプルするのではなく、5〜6秒の無音時間も含めておくといいと思います。
Windowsサウンドレコーダは1分までしか録音できない(らしい)ので、1分を超えるデータをサンプルするときは何らかのサンプリングツールを使用する必要があるでしょう。「Vector」や「窓の杜」あたりに行けば何かしらフリーのサンプリングツールを入手できると思います。

WAV2T77は、PCM形式のデータしか扱うことができません。μ-lawや、A-lawおよびその他の圧縮音声形式で保存されている*.wavファイルでは変換ができません。


4.サンプリングデータをWAV形式で保存する

サンプリングしたデータはWAVファイルとして保存する必要があります。WAVファイルの実態はヘッダ+生PCMデータですのでWAV2T77のようなプログラムで扱いやすいのでWAVからの変換を対象にプログラムを作りました。
保存形式は44.1KHz, 8ビット, モノラルがよいでしょう。変換時の精度を決定するのはサンプリングレートのみです。サンプリングレートさえ高ければチャネル数や量子化ビット数はどうでもいいです。ビット数やチャネル数を増やしても変換精度はほとんど変わらないのに、ファイルサイズは爆発的に増えてしまうので損です(^^;
ちなみに、FM-7純正デレコなどをサウンドカードに接続する場合、モノラル→ステレオ変換変換アダプタなどを使用したほうがよいでしょう。WAV2T77はステレオPCMデータからの変換時にRチャネルとLチャネルの平均を取ることでモノラルにミックスダウンしているためです。モノラルPCMとして保存しておけばこの限りではありません。


5.T77データに変換する

私のHPからWAV2T77をダウンロードしておきます。先ほど保存したWAVファイルに対し、

C:\>WAV2T77 TEST.WAV TEST.T77 -V
のようにコマンドを発行し、T77形式に変換します。-Vオプションを指定すると以下のようにWAVファイルのフォーマットや、解析した録音レベルの情報を表示してくれます。-Vはつけなくても問題ないですが、その場合何にも表示してくれないので不安です(^^; メッセージが出るのはエラー発生時のみになります。

WAV to T77 converter v0.3
Programmed by an XM7 supporter

PASS1: Analyzing record level...
Record Level High 0x87c5 Low 0x7dda
Sample freq 44100[Hz] Channel 1[ch] Quantize bit 8[bit]
PASS2: Converting...
Done.

上記のようにWAV2T77WAVファイルの録音レベルを自動的に解析し、最適(と思われる)しきい値を使用してT77フォーマットに変換しますが、実際のところこの機能はほとんど無効に近いです。録音レベルが大きいからといって大きいしきい値を使用すると変換に失敗してしまいます(アルゴリズムに問題があるのかな?)。録音レベルが大きかろうと小さかろうとしきい値としてはHI側が$8200、LO側が$7E00程度を指定しておけば大体変換できるようです。そこで、

C:>WAV2T77 TEST.WAV TEST.T77 -TH8200 -TL7E00 -V

のようにしきい値を指定して変換を行うと、録音レベルを検出するためのパスが飛ばされるので変換が高速に行われます。いいことづくめ(^^; しきい値はHI側とLO側の両方を指定しないと意味が無いので注意してください。

これであなたもうまくT77ファイルを作成できるはず!(ホントか?)


★その他

1.位相反転オプション

WAV2T77はいくつかのオプションを持っています。v0.3からは、本物のデータレコーダーが持っていた位相反転ボタンの機能を設けました。単純にこのオプションをつけるだけでロード可能になるものがあるようです。ロードに失敗したら"-pr"オプションをつけて実行してみてください。詳細は、WAV2T77のダウンロードページをご覧ください。

2.データレコーダー

つい先日Yahoo! Auctionsで富士通製データレコーダーを落札しました。それまでは家にあるステレオのテープデッキで再生してWAV→T77変換をしようとしていたのですが、どうしてもうまく出来ませんでした。で、デレコ落札後に試してみたところ…一発で変換することが出来ました。やっぱり専用機はダテではないということを思い知らされました。