PC-6001mkIIのビデオ出力端子からテレビに接続すると、表示領域(高さ200ドット分)が上に寄っているように感じます。接続先のテレビによって表示のされ方が違うようなのですが、私が所有しているテレビやハードディスクレコーダに接続した時、上下の黒い余白を比べると、若干ですが上に寄っているようです。
PC-6001mkII取扱説明書の資料7に詳細な画面タイミングが掲載されています。
PC-6001mkIIのRGB出力は水平同期と垂直同期が分離しているので、それぞれの信号を取り出すのは簡単ですが、ビデオ出力では1つの信号線で2つの同期信号を正しく取り出せるように信号の流し方を工夫しなければなりません。その辺の説明はNTSCの解説書を読むかGoogle先生に聞くのがよいです。
このタイミングチャートをみると、垂直同期信号(V.SYNC)は3H、つまり水平映像3本分の長さになっています。ここだけみると、NTSCの垂直同期信号に似ていますが、それだけで同期がとれるものではありません。
まず、参考用にSONYのHDDレコーダーからカラーバーの映像を表示してみたものがこちらです。
NTSCをノンインタレースとしてみると水平解像度が262本(インタレースだと倍になります)です。厳密には0.5本目というのがありますが省略します。そのうちの20本(21本かも)はブランキング期間として画面には映らない信号になりますから、映像としてテレビに映るのは242本です。
DVDビデオはノンインタレースの場合、縦方向には240本の映像信号を持っているので、テレビ上での2本分は使われません。この2本の扱いはDVDプレイヤーによると思いますが、きっと240本の映像領域の上下に各1本分の黒い線を表示してると考えるのが妥当でしょう。
まとめると、DVDに含まれる映像が240本、未使用が2本、ブランキング期間20(21?)本で合計262本の走査線になります。
ブランキング期間20本には垂直方向の同期信号が含まれていて3本分です。また垂直同期信号の前後には各3本の等価パルスというのがあり、合計すると20本中の9本が同期信号として使われることになります。残りの11本は空き時間です。文字放送の情報が入ったり、コピーガード信号が入ったりします。
ブランキング期間20本のあとにテレビに映し出される映像信号が流れます。今回の例だとカラーバー映像です。図に赤い文字で15Hと書いてあるところからが映像信号で、1本目は余りの黒いラインだと思われます。その次の走査線からがカラーバー模様の信号です。信号の後ろの方は測定出来ていませんが、きっと240本分のカラーバー信号が並んでいて、そのあとに余った黒いラインが1本分だけあるはずです。
文字の説明ばかりで書いてる方もわけがわからなくなってきましたが、重要なのは「垂直同期信号から数えて15本目からテレビに映る映像が開始する」ということです。
さて本題のPC-6001mkIIのビデオ出力です。SCREEN3,2,2のあと、カラーコード15(黄色)で画面全体をPAINTした状態です。
なんでしょうこれ、よくこれで同期がとれるなぁと思いますが、取扱説明書のタイミングチャートの通りです。3本分の同期信号のあと、30本分の空白時間があって、それから200本分の画面が描画されます。200本というのは、PC-6001mkIIの縦方向解像度200ドットからきています。この映像信号がテレビに入力されると、テレビは次のように解釈します。
3本分の垂直同期信号のあと、水平映像15本分を待ってから映像を表示し始めます(本来、この15本の先頭には3本分の等価パルスが必要ですが、PC-6001mkIIは等価パルスを出さないようです)。図の最上段と書かれているところから映像を表示し始めるということです。視覚的には最初の15本は真っ黒で、そのあと黄色のラインが表示されていきます。黄色のラインは200本あるはずですね。PC-6001mkII映像タイミングチャートと照らし合わせると、このあとは29本の空き水平ラインがあるはずです。
テレビの表示領域は242本で、PC-6001mkIIは200本分の表示ですから残り42Hです。最上位段の走査線位置から表示領域開始まで黒い映像が15本分があり、これが画面上部の余白領域になります。黒い場合は余黒とでもいうんでしょうか。
残りは42本-15本=「27本」で、これが画面下部の余白領域になります。比べると下の方が広いですね。これで画面上部の余白が15本、下部の余白が27本ですから、12本の差になります。12本、つまり12ドットですから、スクリーンモード1の文字1個分以上の高さに該当します。いまどきの液晶テレビだと縦方向解像度が広く引き延ばされますから、それだけ表示した時の差が広がっていきます。
・・・という考え方で正しいと思うのですが、間違っていたらゴメンナサイということで。
さて、このようなPC-6001mkIIから出力される映像信号でよく同期がとれるなぁ思いますが、実際、私が所有しているPanasonicの液晶テレビではかなりの確率で同期が取れません。その様子をデジカメで納めたものがこちら。
スクリーンモード3でカラーバーを描いてあるのですが、常に上へとスクロールしています。横方向にもうねうねしています。
画面の中央にある細くて深い黒色の帯の箇所が垂直同期信号に該当する箇所だと思われます。その前後の黒い箇所の高さ幅はほぼ同じで、これがタイミングチャートの余白部分30H,29Hかなと。この状態でしばらく放置しておくと同期が合うこともあります。
私が所有しているSONY製のHDDレコーダーでは一発で同期が合い、レコーダーからの映像出力を液晶テレビに入れると問題ないので、録画用途も兼ねてレコーダーを経由するようにしています。
ついでに補足しておくと、一般的な家庭用テレビではオーバースキャンにより、映像規格上の領域よりも表示領域が狭くなります。昔のブラウン管は隅っこの方が丸っこくて映像が伸びてしまうので、その箇所にテレビの枠を付けて隠していた・・・と聞いたことがありますが、ホントかどうかは知りません。その名残は今の液晶テレビにもあり、表示領域の縁の部分を画面外に表示するようになっています。Google検索キーワードとしては、「オーバースキャン」「アンダースキャン」です。パソコンで640×480ピクセルをフルに使い切った映像を作成して家庭用テレビ出力すると隅っこの方が表示されない事がありますが、これが原因です。
では、RGB出力だとどうなんだろう、やっぱり上寄りなんだろうか?というのが次の疑問ですが、専用モニタが手元にないため確認できないのでした。