映像信号を測る / 初代メガドライブ コンポジット信号編に引き続き、今回はPC Engineです。CとEの間に-が入らない方です。
いつものように独自調査なので無保証です。測定に用いたPC EngineはDUO-Rで、RGB化改造を施しているため、その影響がコンポジット信号に出ている可能性があります。
測定値を出す前にこれまでの補足です。色々と映像信号について調べていて気になった情報があったのでリンクします。まず、映像タイムベース測定法によると…
カラーバーストの位相は1本ごと180度反転するのが正式です。(ファミコンは反転している)
メガドライブでは反転させると画面がぎらつく為、反転させずに設計されました。(PCエンジン、MSXも同様)その結果NEC製のデジタルテレビで色が出なくなりました。
サターンでは反転させています。
という記述があります。「カラーバーストの位相が反転する事自体は知っていて、気にしてこなかったのですが、反転させていないハードがあるとまでは考えていませんでした。その辺も見ておけばよかったですね。
また、PCE 互換機の開発メモの画面表示の詳細に興味深い情報があり、PC Eingineはラインによって黒の色味が違うようなのですね。表示されない領域の色の話なのですが、信号をよくみていないと気がつかない点です。
ゲーム機によって映像の黒レベルがどう違うのか(海外ゲーム機ではセットアップも変えてあるのか)は気になるところなので、機会があれば調べたいところです。ただ、そこまで調べるのも大変なので、今のところの方針は映像の周波数を重点的にみたいと思います。
更にもう一点。ゲーム機は色々な描画モードを持っています。モードの変更が映像信号にも出るでしょうから、ここでの測定値は常に一定ではないと思います。例えば、あるモードでは垂直周波数59.94Hzで動作しているけど、描画モードを変更したら59.8Hzになる、という可能性は充分にありえると思います。
さて本編。測定は、DUO-R起動後のSTART待ち画面と音楽CD再生画面、それからたまたま手元にあったラプラスの魔の名前入力画面の3つを何回か測定して平均値を出しています。
まずは水平映像信号です。
水平同期の期間は平均すると63.55μsで、15.73HzというNTSCの規定値です。ごくごくたまに、63.8μsみたいな値を拾うことがあり、その辺を入れて平均を出すと規定から大きく外れてしまうので、こういう測定は平均を求めるより、ばらつき具合の集計を取った方がいいのかな。
続いて垂直同期の期間です。一画面分の波形をみてもゴチャゴチャしてるだけなので画像はありません。16.71μsで、59.82Hzでした。59.94Hzからちょっと外れているように見えます。Googleで59.8Hzを検索してみたところ、PC EngineエミュレータのOotakeでは垂直同期を59.8Hzとしているという記述がありました。なんというこだわりっぷり。ステキです。
また、59.82Hzをキーワードに検索してみると、PS2のノンインタレース時の周波数だったり(インタレースだと59.94Hz)、NintendoDSの液晶表示の周波数だったりと興味深いです。NDSのGBAモードとGameBoyMicroで垂直同期が違うというのは始めて知りました。[参考:http://www.pat.hi-ho.ne.jp/sata68/200601.html#31]
59.94Hzと59.82Hzの差は0.12Hzです。59.94Hzの映像機器で59.82Hzのソフトを動かした場合、まぁ要するにエミュレータとかのその辺の事ですけど、1秒間に0.12フレームのズレが生じるということは約8.3秒毎に1フレのズレが生じるので、調整しないと音と合わなくなりますよね。
垂直同期信号周辺の拡大波形はこちら。
等価パルスと垂直同期信号に切り込みパルスがないのですが、ノンインタレース表示ではフィールドの識別は不要なので、無くても構わないのですね。
PC Engineの映像波形は部分的に拡大してもオーバーシュート/アンダーシュートが小さくてパッキリとした綺麗な波形でした(コンポジットなので映像が綺麗かどうかは別ですが)。