FW-6400GXR/150/WS / FREEWAY・A-TREND


CPU Type:Slot 1 (SC242) or Slot 2(SC330)

Chip Set:82443GX (440GX) + 82371EB (PIIX4E) / Intel

FSB Clock:66, 75, 83, 100, 105, 112, 124(/3), 124(/4), 133(/3), 133(/4), 140, 150MHz

RAM Module Type:168pin 3.3V PC/66・PC/100 SDRAM DIMM *4

Ext.Slot:x2 AGP *1, 32bit 33MHz PCI *6

Power Supply Type:ATX

Board Form:ATX

BIOS: AMI Plug and Play flash BIOS(HIFLEX SETUP)


 1998年に日本のFREEWAYが企画し、台湾のA-TRENDが実際の設計と製造を担当した、440GXチップセット搭載のシングルSlot1/2両対応マザーボード。

 これは先行販売されたFW-6400GX/150/WS(Slot1/2両用)及びWOS(Slot1専用)の2モデルの改良型に当たり、先代同様こちらもSlot1/2両用(但し排他動作オンリー)のWSとSlot1専用のWOSの2種が販売された。

 無論目玉は前代未聞のSlot1/2両用モデルであるWSであるが、ハナからWOSモデルが用意されていた事でも判る通り、開発段階でSlot2対応CPU(開発時点ではPentium II Xeon)の搭載機会はまず無いものと判断されていた様でリテンションメカニズムはSlot1専用の物だけが同梱されており、高価なSlot2用リテンションは別売りとなっていた。

 ちなみにGXとGXRの相違点はCPUのコア電圧制御機能の一部仕様と、基板のレジスト液の色(GXは一般的な緑色だったが、GXRでは赤色に変更された)の2点で、GXRが初採用となった赤い基板は以後のFREEWAYブランドオリジナルマザーボード各機種のトレードマークとなった。

 また、前者の相違故にGXとGXRではBIOS ROMが異なっている事には特に注意されたい。

 ハードウェアデザインそのものについては、Slot2の搭載と、そのためにわざわざチョイスされた440GXチップセット(開発時点でSlot2に対応したIntel純正唯一のチップセットで、傑作の誉れ高い440BXの上位に当たる)、早くもレガシーフリーを標榜して潔くISAスロットを廃したスロット構成(但しチップセットの制約でSLOT5,6(AGPスロット直下の2本)ではバスマスタデバイスの使用が不可である為、例えばVoodoo2やVoodoo BansheeといったVoodoo系のグラフィックカード等の様な非バスマスタカードか、あるいはRTL8139搭載LANカードの様なバスマスタ/FIFO両対応カードでしか使えない)、CPUのオーバークロック動作を強く意識した電源回路構成やクロックジェネレータ、それにハードウェアモニターチップの搭載、と細部にわたってマニアックな仕様満載であったが、その一方で、電源回路の仕様が古い為にCoppermineコア以降の低電圧動作タイプのコアを搭載するPentium III/Celeronには公式には一切対応していない(但し、自前で電圧生成回路を持つPower LeapのPL-iP3/T Rev.2.0等といった一部のSocket370/Slot1変換下駄を併用すればCoppermineコアのPentium IIIでも動作し、例えば800MHz版だと“Pentium III 800EMHz”とBIOSから正しく機種判定される事から、公式には対応していない事になってはいるものの、BIOS更新時点でのAMI BIOSのエラッタ修正用最新モジュールが組み込まれているので一応正常動作する、という事らしい)という、オーバークロック命のマザーボードとしては致命的と言って良い問題が存在した事で知られている。

 それ故、このマザーボードはその華々しいデビューとは裏腹に、古いKatmai以前のコアを搭載するCPU群と運命を共にする羽目に陥ってしまい、事実生産数もそれほど多くはなかったのだが、流石に腐っても440GX搭載で、シングルCPUで利用しても最大搭載メモリ量が2GBに倍増するという大きなメリットがあった。

 まぁ、細部の作り込みが甘くあまり良い出来ではないのだが、格安中古で入手でき、しかもSocket 370のPentium IIIとPL-iP3/Tを手元で余らせているというのであれば、動作安定性が抜群に良い上にメモリの自由度が440BXより高い440GXものという事で、今でもそれなりに利用価値のあるボードである。

 なお、このマザーボードのACPI対応は、同じくAMI BIOSを搭載するTYANのS1837UANG Thunderboltと同様に、Windows 2000動作中は電源スイッチを押すだけで殆ど瞬時と言って良い高速シャットダウンするタイプとなっており、非常に便利である事を申し添えておく。

 


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