MS-6905 Master / Micro-Star
CPU Type:Socket 370(PPGA / FC-PGA)
Micro-Starが自社製Slot 1搭載マザーボードの為に用意した、いわゆるスロケットの1つ。
つまり、Slot 1タイプのマザーボードでSocket 370タイプのCPUを使える様にする為の変換基板である。
Micro-Starの製品としてはPPGA版CeleronのシングルCPU動作に対応したMS-6905(Ver.1.0)、当時猖獗を極めたPPGA版CeleronのデュアルCPU動作をサポートし、自社製MS-6120Nとセットで販売された事で知られるMS-6905 DUAL(Ver.1.1)、そしてPPGA版のCeleronのシングル/デュアルCPU動作に加えてFC-PGA版Pentium IIIのシングルCPU動作を実現したこのMS-6905 Master(Ver.2)と、都合3種(但しVer.1.1には幾つかサブタイプが存在し、その最終型であるVer.1.1Bは非公式にではあったがFC-PGA版Pentium IIIをサポートした為、実質的にはこのMS-6905 Master = Ver.2と同等の機能を備えていた)が出荷されたが、これらの内FC-PGA版Pentium IIIのシングルCPU動作を(非公式にであれ)サポートしたVer.1.1BとVer.2についてはP6系CPUアーキテクチャ特有のSMP調停用BR0#〜BR3#信号ピン、特にデュアルCPU動作に必須のBR1#信号ピン位置が判明した(SOFTBANK Publishing刊DOS/V magazine 2000/4/15号の記事による)際に、比較的容易にデュアルPentium III対応化改造が出来た為に人気を集めた事で知られている。
また、このシリーズは冒頭にも記した通り本来はMicro-Starのマザーボードを対象に開発された製品なのだが、何故か不思議な事にはあまたある各社のスロケットの中で唯一このシリーズだけが、純正スロケットさえ跳ね退ける札付きの凶状持ちとして知られたSUPER MICRO製SUPER PIIIDME・DM3・DRE・DR3の4種のIntel 840搭載Dual Slot 1マザーボードで動作するという快挙を成し遂げた為、この事に気付いたこれらのマザーボードのユーザーが買い占めに走った、という逸話が残っている。
ちなみにDual FC-PGA Pentium III動作(つまりいわゆるCoppermineコアのPentium IIIによるデュアルCPU動作)を可能にする為には、前掲誌の記事(発見者である牛氏の特別寄稿記事)によれば、正式にはSocket 370のN33ピン(FC-PGA版Pentium IIIではこのピンがBR1#に割り当てられている)をこのボード上のJ3ジャンパの#3ピン(Slot 1のBR1#に割り当てられているB75ピンに配線されている)と結線し、かつN33ピンと同じくSocket 370のAD36ピンを56Ωの抵抗でつないでプルアップする(後者は本来必要な作業だが、一般的には省略しても動作する事が多い)必要がある由である。
筆者は2010年になって思い出したように上記改造を実施、問題のSUPER PIIIDMEでPentium III 866MHzが正常にデュアルプロセッサとして認識されることを確認した。
ちなみに、ジャンパ設定をJ1:1-2、J3:1-2、J4:1-2とし、マザーボード側でJP3:2-3としておかないとFSBが133MHzで動作しなかった。今更SUPER PIIIDMx/DRx系でこの板を使う人はそうそういないと思うが、一つの記録として付記しておく。
なお、念の為に書いておくが、ここで紹介した改造を実施するとメーカーの保証は無効となる。改造される方は自己の責任において実施していただきたい。
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