Lilith P3 (DA365) / EONtronics


Graphic Acceralation Chip:Permedia 3 / 3DLabs

RAM:7ns SDRAM 32MB

Port:AGP (32bit 66MHz 2x 3.3V)

動作確認マシン:PC-9821Ra300/M40 + ChanponZero2-PCI / 玄人志向


 1999年冬に台湾のEONtronicsが発売したPermedia 3搭載AGP対応グラフィックカード。

 Lilith P3はリテールBOX版の商品名、DA365はバルク版の型番となるが、基本的には同一品と考えても差し支えないだろう。

 OEM供給を意識したのかNLX規格のマシンでも使用可能な基板形状が目を引くが、この基板自体はシルク印刷も含めて3DLabs純正のPermedia3 Create!やOxygen VX1とほぼ同一仕様(差異は3DLabsのロゴの有無程度)で、コンデンサ等の実装部品には多少差異があった様だ。

 Premedia 3はその名が示す通りPermedia 2の後継機種で、先行したnVIDIAのRIVA TNTと同様に2つのテクスチャユニットを備え、独自のテクスチャ圧縮機能が実装され、メモリインターフェイスは128bitバス接続に強化され、MPEG2データ再生支援の為に動き補償機能が搭載され、更にLCDインターフェイスも備えるなど、この時期のチップとしてはかなり充実した仕様となっている。

 もっとも、先代もそうだったが3DLabsのチップは製造に使える半導体プロセス以上のスペックを盛り込みすぎて製品出荷が遅れる/当初計画よりデチューンして出荷される傾向があり、この製品も98年7月13日に発表されたが実際に製品出荷が開始されたのは翌年の7月下旬で、当初想定されていた対抗機種群がRIVA TNT→RIVA TNT2・Millenium G200→Millenium G400・Voodoo Banshee→Voodoo 3とそれぞれ順当に強化された(それどころかnVIDIAについてはGeForce256の発表を控えていた)為、相対的にアドバンテージが失われてからの登場となってしまい、ビジネスとしては充分な成功が得られずに終わっている。

 性能的には、GDI/Direct Draw描画が競合各機種並み、Direct 3DがSavage 4系よりはマシだがRIVA TNT2には明らかに劣るレベル、Open GLは競合各機種を圧倒するレベル、とややバランスが偏った仕上がりでいかにも3Dlabsらしいものだったが、Direct 3Dでの描画性能を重視する世間一般での訴求力に欠けていた為、結局このチップはOxygen VX1やOxygen GVX1といったOpen GLの利用に特化した下位のグラフィックワークステーション(GWS)用カード向けへシフトする事となった。

 このチップで特筆すべきはその画質で、先代同様にTexas Instruments製RAMDAC(300MHz駆動)のASICが内蔵されており、この種のRAMDAC内蔵グラフィックチップとしては相当高レベル(先代Premedia 2と比較しても高水準である)の画質を実現している。

 今となっては最早過去の遺物で、しかも販売元であるEONtronics自体が消息不明(同社のサイトは既に存在しない)である為にドライバの入手にも苦労する有様だが、幸いチップ製造元である3DLabsで公開されているOxygen VX1/Premedia 3 Create!用ドライバが使用可能なので、3.3V専用のAGPカードにしか対応しない古いマザーボードを搭載した事務用PC等に組み込むのであれば、今でもその高画質なRGB出力には価値があるだろう。

 無論その高画質を生かすには、相応の品質のディスプレイやRGBケーブルも必要ではあるのだが・・・。


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