PC-9821As2/U8W内蔵グラフィックモジュール / NEC
Graphic Acceralation Chip:86C928-P / S3
RAM:70ns Dual Port DRAM 1MB
Bus:Mate A Local Bus (32bit 25〜33MHz)
動作確認マシン:PC-9821As2/U8W
NEC製PC-9821As2/Ap2/AnのWindows 3.1プリインストールモデル(CD-ROMドライブ搭載のC9Tタイプを除く)に実装されていた内蔵用モジュール。
いわゆる拡張スロットではなく、その直下のマザーボード上に設けられた専用コネクタで接続される構造で、電気信号的にはNEC独自の32bit Local Bus規格準拠である。
スペックシートを見る限りは初代Mate A出荷時に用意された、最初のNEC純正Local Bus(ML-Bus)対応グラフィックボードであるPC-9821A-E01(同じく86c928搭載でVRAMも1MB)と同一仕様であるが、出荷時期の相違によるチップのリビジョンの違いから、後発のこちらでは24bitカラーモードでのアクセラレーションが可能となる、という相違があった。
回路構成としては、グラフィックコントローラである86C928-Pを直接ローカルバスに接続せずに、NEC自社製の148713-002 ASUKAというブリッジチップを介して接続する構成となっており、当時のNECがローカルバスの電気的安定に危惧を抱いていたことが伺える。
流石はバス幅32bitで最大駆動クロック周波数33MHz(つまり速度だけを見ると一般的なPCIバスに遜色ない)だけあって描画速度は確かに高速だったのだが、VRAMが僅か1MBではいかにも使い様が無かった。
これはNEC純正ドライバが640*400と640*480での256色と16777216色、それに1024*768での256色しか環境を提供してくれなかった為でもあって、800*600での65536色モードが標準で提供されていればそこまで“使えない”という評価とはならなかった筈だと思われる。
Local Busのドライブ能力による消費電力の制約を考えると、VRAM 4MBのグラフィックボード+純正キャプチャ等で拡張スロットの方を2本とも使う場合には、これは外した方が良い様に思われる。
通常の98固有グラフィック機能と出力端子を共用する関係上、マザーボード上のリレースイッチでRGBディスプレイ出力の信号線を切り替える構造となっており、これが高周波域での信号特性に対する考慮は無いに等しい(苦笑)代物なので、画質的には並以上にはなり得ない。
何にせよ基本的に間に合わせのデバイスという印象がある。
せめてVRAMが2MBなら潰しがきいたのであるが・・・。
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