Power Window 928IILB / Canopus


Graphic Acceralation Chip:86C928-P / S3

RAM:60ns Dual Port DRAM 2MB

Bus:Mate A Local Bus (32bit 25〜33MHz)

動作確認マシン:PC-9821As2/U8W


 NEC製PC-9821シリーズのMate AあるいはA Mateと呼ばれる一連の機種(Ae、As、Ap、Af、As2、Ap2、An、As3、そしてAp3)と、SC/FC-9821の一部機種(公式には対応を表明していない)等 に搭載された32bit Local Bus(ML-Bus)対応の高速GAボード。

 この製品はその型番が示す通り、S3の歴史的傑作グラフィックアクセラレータチップである86C928を搭載するが、この製品に搭載された物はNEC純正のPC-9821-A-E01に搭載された初期ロット品とは異なり、そちらのロットで問題点として指摘されていた24bitカラーモードでアクセラレーション機能が停止する問題に対する修正が施されたリビジョンE以降のロットのチップが搭載されていた筈である。

 このボードは、当時の感覚でもかなり高価なボード(当時の定価\78,000!)であったが、86C928を搭載したあまたある各種ローカルバス対応グラフィックカード群の中でも最高の出来の製品で、それまでは殆ど無名に近かったCanopusがグラフィックボード/カード市場で認知されるきっかけを作った、記念碑的製品である。

 何より、高速、しかも安定した描画性能を実現するオリジナルドライバと、計測用AD/DAボードの設計生産で培われた回路設計ノウハウをフルに投入して設計されたアナログ回路部分がもたらす素晴らしい高画質は魅力的であった。

 このカードを含め、CanopusのMLバス対応グラフィックボードは、ブリッジチップを挿入するNECの純正同等品と異なりどれもグラフィックチップがバッファICは介するが直接バスに接続される設計となっており、速度面での差はその辺も影響していた様に思われる。

 純正品がブリッジを介したのは、恐らくMLバスの根本的な意味での不安定さをNEC自身が自覚していたが故の一種の安全策と思われるが、安定さえ得られるならばそんなモノは無いに越した事が無い、というのも又確かであった。

 なお、メモリは三星電子のKM424C257Z-6という当時としては高速且つ高価な60ns 256KBデュアルポートDRAM(VRAM)16枚が、そしてRAMDACは珍しいAT&T製のATT20C505-11(型番末尾の数字から恐らくドットクロック110MHzの製品と思われる)が実装されている。

 ちなみに、このボードの描画速度は今の目で見ればそれ程高速ではないが、それでも当時の同クラスの製品中では抜きん出て高速な部類に入るものであった。


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