INTENSE 3D 2200S / INTERGRAPH
Graphic Acceralation Chip:Unknown(3Chips) / INTERRAPH & CL-GD5440-J-QC-B / Cirrus Logic
RAM:10ns SDRAM 16MB(Main) + SDRAM 4MB(Work)
Bus:PCI Rev.2.0 (32bit 33MHz 5V)
動作確認マシン:PC/AT互換機(S2466N-4M Tiger MPX)
グラフィックワークステーションの老舗であるINTERGRAPHが1997年12月に発表した、OpenGL対応の3Dグラフィックカード。
これは本来はINTERGRAPHが前作初代INTENSE 3Dの後継モデルとして開発し、IBM等へもOEM供給したハイエンドグラフィックカードで、当初は約40万円というプライスタグが付されていた。
只、その空恐ろしい価格もフルサイズの、そうしてしなりによる破損を防ぐ為にほぼ全長に渡る長い金属製サブフレームを装着したフルサイズの基板上に巨大なIBM製パレット付きRAMDAC(37RGB640CF17:型番から考えてドットクロック170〜175MHz程度だろうか)、金属封止タイプのパッケージに納められたPCI to PCIバスブリッジ(CYID54200:ちなみに初代INTENSE 3Dでは同じ位置にDEC 21152が搭載されていた)、起動時に必要なVGA互換グラフィック機能を提供する為だけに搭載されたCL-GD5440-J-QC-Bと512KBのEDO DRAM・巨大なヒートシンクの下に実装された3チップ構成のグラフィックコントローラ(恐らく2D描画/メモリコントローラ、3D演算ユニット*2という構成ではないかと推測されるが真相は定かではない)とフレームバッファとして搭載された16MBの10ns SDRAM、そしてドーターカード上に実装された3Dグラフィックエンジンのワークエリア用4MB 12ns SDRAMという、ほぼ当時の最先端を行くパーツを搭載した複雑な設計を目の当たりにすればそれも無理からぬ仕儀であった事が判る。
当時はVGA互換コントローラ機能を内蔵しないOpenGL対応3Dグラフィックエンジンを搭載するカードにマシン起動用としてシーラスロジックのGD54xxシリーズを併載する例が結構あって、これはその典型例なのだが、2枚のこのカードを同期動作させる為のシンクロケーブル接続用コネクタを実装するなど、明らかに2枚挿しを前提としておりながらこのカードにはVGA互換コントローラを強制的に機能停止させる為のジャンパピンは用意されておらず、どうもVGA BIOSレベルで2枚挿しを検出して片方を機能停止とする様なトラップルーチンが組み込まれているものの様である。
元々INTERGRAPHはアポロ計画たけなわの1969年に創業というこの業界でも結構な古株で、軍用や特殊な業務用グラフィックワークステーションの開発を得意としており、“Clipper”と呼ばれるバックサイド方式のセカンドキャッシュをCPUコアと共に内蔵するパッケージ形態(ちなみにこれの登場はPentium Proより古く、INTERGRAPHはこのCPUのキャッシュ方式についてIntelに対して特許権を巡る訴訟を起こし、事実上の勝訴を勝ち取っている)をとる自社オリジナルの高速CPUをフェアチャイルドと組んで開発するなど技術力には定評があるが、その専門分野のあまりの特殊性故に一般的な知名度は低いという、いわば「知る人ぞ知る」業界の先駆者である。
それ故か、この会社はx86マシンには長い間見向きもしなかったのだが、Windows NTにOpen GLが実装された事でNT搭載グラフィックワークステーションの分野に参入し、これまで培ってきた自社製グラフィックアプリケーションを移植すると共に、それらを効率良く動作させる為に特殊なアーキテクチャ(CMA:Concurrent Multiport Architectureと呼ばれ、バス帯域の拡大を実現している)を採用したデュアルCPU搭載ワークステーションや、これを含むINTENSE 3Dシリーズ等の「他の会社の製品とは一味違う」ハードウェアを開発している。
従って、Windows NT系はサポートするがWindows 9x系は一切サポートしない、というのがここの方針で、このカードについてもWindows NT 4.0とWindows 2000に対応するドライバのみが現在3Dlabs(INTERGRAPHは後年INTENSE 3Dシリーズをその担当部署ごと3Dlabsに売却している)のサイトで提供されている。
ちなみにWindows 2000版ドライバはDirect Draw・Direct 3D非対応で、昨今のグラフィックカードが安物でもこの時期のOpenGL対応3Dグラフィックカードより高速である事を考えるとその本来の目的における利用価値は殆ど無いのだが、GDI描画性能はこの時期のものとしてはかなり高速な部類に入り、しかもRAMDAC外付けで画質的にはそこいらの安物カードを足下にも寄せ付けない高品質ぶりなので、Windows 2000環境下におけるセカンダリグラフィックカードとしてならば今でも十分以上の価値があるカードである。
一応、当ページの内容の無断転載等を禁止します