PC-9821Xa7/9内蔵グラフィックアクセラレータ / NEC


Graphic Acceralation Chip:TGUi9680XGi / Trident

RAM:EDO DRAM 2MB

Bus:PCI Rev.2.0 (32bit 33MHz 5V)

動作確認マシン:PC-9821Xa9/C8、PC-9821Xa7/C4


 一時はノートPC用アクセラレータチップメーカーとして隆盛を誇ったが、結局吸収合併で姿を消したTrident製のRAMDAC内蔵PCI接続グラフィックアクセラレーションチップ。

 このチップはDRAGONの愛称で知られたTGUi9660に動画再生支援機能を追加した物で、Windows 95時代にPC-9821Xa??、Xv13/R16等の内蔵GAとして大量に採用された事で一躍有名になった。

 これらの98の回路構成を見ると、98固有グラフィックモード(いわゆるDOS画面で用いられる、EGC互換640*400 16色モードの事。他に、PEGC互換(但しプレーンアクセスモードが省略されており、これによるラスターオペレーション機能も持たない為、本来のPEGCとの互換性は完全ではない)640*480 256色モードも含まれる)専用コントローラ(μPD95177GN)とヴィデオRAM等を共有可能となっていて、低コスト化にかなり有利な設計であった事が窺われ、実際にもXa7/9等では2MB分のEDO DRAMをTGUi9680XGiとこの専用グラフィックコントローラで共有する構造になっている。

 これはつまり、設計上グラフィック回りでどうしてもAT互換機より高コストになる傾向のあった98で機能や性能を維持しつつ低コスト化を図るべく、様々な工夫が凝らされているという事である。

 又、このチップは前述の通りそこそこ以上に使える結構実用的な動画再生支援機能を内蔵しており、これは随分長い間Mate X・R用カタログ上での売り文句となっていた。

 いずれにせよ内蔵RAMDACの画質はそこそこ、256色モードでの速度は思った以上に速いというチップだが、ただ一つ困った事にはフルカラーになると途端に馬脚を現して速度が急低下する、という厄介な欠点があった。

 PC-98でも上位機種が最後のタワー型となったRvII26に至るまでことごとくMatrox製Millenium(RAMDAC 175MHz版)のOEM供給品を採用し続けたのはこの為であるが、Direct Drawに限って言えばそれでもこのTGUi96xx系の方がまだしも実用的で、この機種の購入者層を考えればそれは妥当な選択であった。

 ちなみに、このチップは同じ98でも機種によってその実装形態がかなり異なり、当初は文字通りマザーボード上に直接実装されていたが、末期のXa13/W12以降(もっとも、この形態はMate R初代のPC-9821Ra20/N12が先鞭を付けたのであるが)ではPCIカード形態に変更され、チップも小改良されたTGUi9682XGiに世代交代し、これは結局PC-9800シリーズとしては最後のデスクトップ機となったPC-9821Ra43まで実に8年に渡って98に搭載され続ける事となった。

 その性能の善し悪しは別として、このTGUi968xシリーズこそがPC-9800シリーズの末期を代表するグラフィックチップなのは確かである。


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