X1 turbo Z (CZ-880C)付属キーボード / SHARP


 X1シリーズの最終進化形態であるX1 turbo Zに付属したキーボード(1987)。

 ケース外装に機種名を記したロゴが入っている以外は基本的にX1 turboシリーズ用と共通設計である。

 キーボードが無かった拾い物のX1 turbo IIの為にジャンク屋でまず1枚入手し、その後X1 turbo Zを1台入手した時にも付いて来たので、合計2枚になった(笑)。

 turbo/turbo Z系のキーボードは基本的な配列はX1系のそれに準じるが、キートップを一見した限りでは5つ並んだファンクションキー(これが長方形なのはシャープのXシリーズに共通する特徴である)の右側に「ROLL UP」・「ROLL DOWN」・「HELP」・「COPY」の4キーが、そして「カナ」の右には「XFER」キーが追加となっている。

 言うまでもなくこれらは漢字入力/文書編集上の機能的な要請故に追加されたものである。

 また、キーボード左側面に切り替えスイッチが設けられているが、これはかなキー配列マッピング切り換えスイッチで、JIS配列と50音配列に切り換えられる様になっている。

 一応キートップに張り付ける50音キー表示の為のシールが同梱されていたから、それを貼ってスイッチを切り替えれば確かに50音配列で利用可能であるが、果たして誰がそこまでの手間をかけてこのシリーズで50音配列を利用したかとなると少々疑問が残る。

 確かに、当時50音配列キーボードを搭載したワープロ専用機が少なからぬ数存在したのは事実であるし、MSXにも50音配列キーボードを搭載した機種が(主として初心者向け入門機を中心に)幾つかあったが、まさかそんなワープロやMSXからこの機種に乗り換えるユーザーがそんなに沢山いたとは考えられず、事実各社のラインナップの上位機種でこの配列を利用可能とした例は、これ以外には思いつかない。

 あるいはそれは、(主として高解像度化の実現で)日本語処理が可能となった事を強調する為の一種の方便だったのかも知れないが、この機種の対象ユーザー層を考えると的外れな機能実装であった様に思われる。

 無論、これはJIS配列のままにしておけば済む話ではあるのだが、この機能の実装故にX1系とX1 turbo/turbo Z系とではキーボードの使い回しが出来なくなっている事を考えると、正直言って余り誉められた話では無い様に思う。

 もっとも、流石に上位機種だけあってこのキーボードではキースイッチはアルプス電気製メカニカルスイッチ(軸足の成型色はライトグリーン)が奢られているが、残念ながら後続のX68000/X68030系も含めて、この種のスイッチを搭載したキーボードとしてはあまりタッチが宜しくない部類に入る。

 ちなみにこのキーボードの内蔵コントローラはApple Extended Keyboard系と同じ80C49系(但しシャープ自社製)で、同シリーズに先行しての採用であった。

 このコントローラを搭載したキーボードはいずれも基本的に非常に簡素なケーブル接続(AppleのADBにしろ、X1系のステレオミニプラグにしろ、その機能からは考えられない位簡潔なピンアサインである。なお、X680x0のキーボードも80C49搭載だが、恐らく満艦飾(笑)のLED搭載に伴う電力供給の都合とマウスコネクタをキーボード上に搭載した関係でピン数が多い)となっており、インテリジェントコントローラの効用というものを我々に教えてくれる。


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