PC-9801-114 PC-PTOSキーボード / NEC


 2001年3月末に、地元J&P姫路店の閉店セールで在庫処分されていたのを購入した、いわゆる“掘り出し物”。

 時期的に言えばWindows 3.1全盛期、NECのPC-9800シリーズで言えばPC-9821As2/Ap2の頃にひっそりと発表された、PC-9800シリーズ用のPC-PTOS対応キーボードである。

 PC-PTOSというのはかつてPC-9800シリーズとは別に存在していた、NECのビジネスPCであるN5200シリーズの専用OSの98移植版で、N5200シリーズとPC-9800シリーズではキー配列が異なっていた事からアプリケーションソフトウェア操作の互換性を維持するために専用のキーボードが必要とされ、この系統の製品が開発されている。

 つまり、分かりやすく言ってしまうと、これは「N5200シリーズ用キーボードと同じキー配列のPC-9800シリーズ用キーボード」という事になる。

 但し、流石と言うべきか物理的なキー配列そのものはかなり異なるものの、WindowsやDOSでは(特殊キー群を無視することで)通常のPC-9800シリーズ用標準キーボードとして振る舞う様にキースキャンコード割り当て等の論理レベルで工夫されており、どのOSでも妙なドライバを仕込む必要が特に生じない様になっている。

 この種の製品としてはPC-9800シリーズの傍系に当たるストアコンピュータ(SC-9800シリーズ)向けとしてPW-SC03-03という機種が先行して存在した事が確認されており、これはその後継・一般販売バージョンに当たる。

 本来かなり高価なオプションであった(定価2万円)し、そもそも本体に通常配列品が添付されていた98のキーボード事情を考えると普通に使う限りは別途購入する必要さえ無い様な代物だが、激務に耐える事が求められた業務用途が主目的であった為か、本体標準添付キーボードのキースイッチが安価なメンブレンゴムスイッチに切り替わった後の製品であるにもかかわらず、敢えて高価なアルプス電気製ノンクリックメカニカルスイッチ(軸足の成型色はレモンイエロー)が搭載されており、そのキータッチは絶品の部類に入る。

 また、キー数が非常に多い関係でCAPSキーやSW1/2キーにはメカニカルスイッチならではのLED内蔵特殊スイッチ(X68030のキーボードでも見られたが、かなり高価。これらもALPSスイッチが選ばれた理由の一つであろう)が採用されており、それらのキーのステータスランプの表示スペース確保の為だけにキーボードサイズが大型化するのを防いでいる。

 なお、キートップの文字はインキによる印刷の上から透明のオーバーコートをかけて保護したもので、その耐久性には多少不安や不満が残るが、このキーボードの場合キー前面に標準キーボードとして動作する場合のキー名表記がなされているので、印刷以外の方法を採るのは困難(無論、かつてのN5200純正キーボードやPW-SC03-03(N5200用と同じくNECメカニカルスイッチで、キートップを流用したと考えられる)の様に多色層状成形による文字表記がベストだが、生産数も需要も少ない為にその採用はコスト的に考えて至難である)であろう。

 何しろキー配列がキー配列なので、敢えて強くはお勧めしない(慣れないとタッチミスが多発する)が、出物があれば、という条件付きだがキータッチの良い98用キーボードが欲しい場合には一考に値する製品である。


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