IFC-NN / Melco
インターフェイス:SCSI-2 (50pin SE 10MB/s)
転送モード:DMA/FIFO/SMIT
Bus:C Bus (16bit)
コントローラ:WD33C93BJM / Western Digital + SMIT-98C / Work Bit
対応機種:PC-9800シリーズ(80286以上搭載の機種)
動作確認マシン:PC-9821As2/U8W,PC-H98 model U105-300
ライバルであるI-O DATAのSC-98 IIIと同様にSMIT(Super Memory mapped I/o Transfer)転送をサポートしたWork Bit製SMIT-98Cチップを搭載した、Melco最後のCバス対応SCSIボード。
基本的には前身であるIFN-NSの実装コネクタを98で一般的だった50ピンハーフピッチアンフェノールタイプからPC/AT互換機で一般的な50ピンハーフピッチピンフォークタイプに変更した物で、性能的には前作同様である。
これはこの世代のCバスSCSIボードとしては珍しくPC-H98をサポート機種に含んでおり、それ故か出荷時点で80286以上のCPUを搭載していた本体に24bitアドレスモードに対応する事を知らせる為に必要となるスイッチバー(注1)が省略されずに実装されている。
後期のPC-9821各機種ではスイッチバー対応マイクロスイッチを実装したスロットが減らされた(例えばCバススロットを3本備えるPC-9821Ra266・300の場合、スイッチは#2スロットにしか実装されておらず、残る#1・3はスイッチオン(=24bitアドレスモード)で固定となっている)関係でスイッチバー無しでも特に問題にならないのだが、H98を含め古い機種では搭載スロット全てにスイッチ実装が当然であった為、これらの機種では24bitアドレスモード対応でスイッチバーを持たないボードが異常動作する恐れ(注2)が有り、それらの機種をサポートする限りはスイッチバー実装は必須となる訳である。
逆にスイッチ省略スロットにスイッチバー搭載ボードを挿すのは一向に問題ないので、ユーザーの混乱を考えると24bitアドレス対応ボードについては原則的にこのスイッチバーを実装しておくのが正解の筈なのだが、転送ロジックを考えるとすぐ判る通り、SMITチップの動作には20bitアドレスで事足り、実際にもその範囲内のリソースしか使っていない(注3)為か、同時期のSMITチップ搭載ボードでも例えばLogitecのLHA-301はスイッチバー取付用孔はあけてあるもののスイッチバーそのものの搭載は見送られており、このあたりの各社の対応はまちまちであったようだ。
このボードは性能的にはSMITボードの通例通りCPUに負荷をかけるが高速、というパターンで、基板上にSC-98III系と同様に内蔵50ピンSCSIコネクタのパターンが用意されているが、基板レイアウト自体はセカンドバス対応故に変則的とならざるを得なかったSC-98IIIと異なり非常に素直なもので、内蔵ターミネータはアクティブとなっている。
なお、このボードのBIOSはVer.1.10以降、同じくSMIT転送対応CバスSCSIボードであるLogitecのLHA-301・301A(Ver.1.07以降)と同様にCバス対応SCSIボードとしては珍しく8GB以上32GBまでの容量のSCSI HDD接続に公式に対応する様になっており、9GB以下の容量のSCSI HDDの入手が困難になりつつある現在、その利用価値は非常に高い。
(注1):Cバスのエッジコネクタ脇に取り付けられたプラスティック製のパーツで、本体側拡張スロット脇のマイクロスイッチをこれが押し込んでオンにする事で24bitアドレス対応ボードである事を本体に伝える。
(注2):実の所この様なケースは殆ど無いと思うが、当時のNECは互換性について僅かなトラブルの可能性も看過出来なかったらしく、この種の配慮を怠らなかった訳である。
(注3):これはPC-9801-92との互換性を維持する必要性から同ボードと同じリソースを使用せねばならないという事情も関係している。ちなみにSMIT転送対応ボードは、BIOSに依存しないDOS以外のOSの下では対応ドライバがインストールされない限りはPC-9801-92互換のFIFO転送モードで動作する事で互換性を確保してある。なお、当然ながらSMIT転送を行うにはCPUは最悪でも286以上でなければならない。
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