AIC-7896 / Adaptec


インターフェイス:Ultra 2 Wide SCSI (68pin 80MB/s) * 2 Channel

転送モード:Bus Master

Bus:PCI Rev.2.1 (32bit 33MHz 5V)

SCSIコントローラ:AIC-7896N / Adaptec

搭載マザーボード:S1837UANG Thunderbolt


 TYANのS1837UANG Thunderboltに搭載されている2ch Ultra 2 Wide SCSI対応のSCSIコントローラである。

 Adaptecの純正SCSI製品系列で言えば本来AHA-3940系の2ch SCSIカードに搭載されるべきチップであるが、既に後継で64bit PCIをサポートしたAIC-7897が出現していて単体のSCSIカード製品もこれを積んだAHA-3950U2に移行してしまっていたので、こちらの7896は32bit PCIしか持たない(故に7897ではオーバースペックとなる)この時期のPC/AT互換機用マザーボードのオンボードSCSIチップとして供給されるのみとなっていた様だ。

 ただ、U2W SCSIで2 Channelともフルに使用した場合、現実には例えRAIDでもピークの転送量がまず理論値に届かない(SCSIバスのネゴシエーションなどのコマンドのやりとり自体もその転送容量の範囲内で実施されるので、実際には1 Channelあたり60〜70MB/s程度しかデータは転送出来ない)のだが、それでも32bit 33MHzの一般的なPCIバスの転送性能上限である133MB/sでは不足を来す可能性があるので、やはりこれはU2W SCSI 1 Channel + UW SCSI 1 Channel(80MB/s + 40MB/s = 120MB/s)と考えるのが妥当であろう。

 このチップではAHA-3940UWD等で3つのチップに分割されていたPCI to PCIブリッジコントローラと2ch分で2つのSCSIコントローラ(この場合はAIC-7890と同等品)が特徴的なメタル製BGAパッケージの1チップ(AHA-3950U2に搭載されたAIC-7897も同様のパッケージであった)に集積されており、速度的には市販されているPC/AT互換機用SCSIコントローラ中でも当時最速級の性能(Ultra Wide SCSI対応ハードディスクでのベンチ結果で言えば、InitioのUltra 2 Wide SCSI対応チップであるINIC-1060Pと同等の速度を叩き出していて、通常のUltra Wide SCSIコントローラと比較して5%以上の速度差がある)を備えている。

 その動作を見る限りこれは非常に素晴らしい製品であり、ドライバの安定度やBIOSの設定等も全く申し分ない。

 但し、DOSでの使用は殆ど考慮されていない節が伺われ、少なくともマザーボードに添付されていたドライバCD-ROMにはDOS用ASPIマネージャの類は収録されていなかった。

 とりあえずTYANのサイトにDOS用ASPIドライバ一式(内容的にはAIC-7890用と完全に同一でASPIドライバにはASPI8U2.SYSを用いる)が置かれていたのでそれを落として来て使っているが、最初からCD-ROM又はドライバFDに収録しておいて欲しかった所だ。

 なお、BeOSではRelease 4.5.1以降このコントローラ(厳密にはその基本になったAIC-7890)がサポートされる様になっており、実際にも問題なく(それも高速に)動作している。


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