ART-833 3D / ARISTO
接続バス:ISA Bus (16bit 8MHz)
サウンドコントローラ:Sound Pro 8330(CMI8336) / C-Media Electronics
対応機種:PC/AT互換機
動作確認マザーボード:TI5VG+ / Taiwan My Comp
1998年春にSPDIF In/Out対応ということで突如大流行した、曰く付きのISAサウンドカード。
メーカー名を見ればすぐ判る通り、搭載チップのSound Pro 8330(CMI8336)は後のCMI8738/PCIの直系の先祖に当たり、機能的にもこれとほぼ同等の当たり障りの無い仕様(DAC/ADCを内蔵する1チップコントローラで、流石に音声出力は2chのみしかサポートしていない)となっている。
つまり、あの8738の機能の大半はこの8336の時代に既に存在していた訳で、この系列のチップは多チャンネル化とバスインターフェイスの変更だけで、大した改良もないまま6年以上も売られ続けていることになる。
ブラケット部にはLine Out(Speaker Outとジャンパ切り替え)、Line In、Mic In、それに15pin Sound BLASTER互換Joystick&MIDI I/O端子が搭載されている他、SPDIF入出力が内部端子として実装されているものの、いわゆるWave BLASTER端子は用意されていない。
SPDIF端子はTTLレベルで44.1KHz固定のI/Oがピンヘッダで出されている程度で、そのままでは通常のオーディオ機器のTOSLINK(光デジタル)端子に接続出来なかったことから流行は一時に留まり(無論、電子工作でこの問題を解決した強者達も当然の如く存在したが)、その後YMF-724搭載のSPDIF出力付きカードやSound BLASTER Live!が市場に出回ったことで一気に廃れた。
SPDIFが無ければこれは本当に安造りなSound BLASTER 16互換サウンドカードでしかなく、事実これのアナログ出力は絶望的と言うか何と言うか、何を鳴らしても金属的な音色に響く、強烈な宇宙的サウンドで、Windows 95でだけ利用可能であった内蔵Wave Tableシンセの音色も恐ろしくチープだったという印象が強い。
只、このチップはPC-CHIPSに大量に供給されて同社製マザーボードに実装されて販売されたらしく、その関係でドライバのサポートはこの手の胡散臭い仕様のチップには珍しく充実しており、その点だけは評価できる。
もっとも、そうは言っても今更わざわざ購入する様な物ではなく、その珍妙な音質を楽しみたい、という様な奇特な趣味の持ち主以外にはお勧め出来ないサウンドカードである。
一応、当ページの内容の無断転載等を禁止します