0404 PCI / E-MU Systems
Bus:PCI Rev.2.0 (32bit 33MHz 3.3/5V)
サウンドコントローラ:Unknown / Creative + XC2S50E“SPARTAN II-E” / XILINX
DAC:AK4395VF /旭化成マイクロシステム(AKM)
ADC:PCM1804 / Burr-Brown/Texas Instruments
対応機種:PC/AT互換機
動作確認マシン:xw9300/CT
2004年初夏にデビューした、E-MUブランドのオーディオカード。
日本国内向けでは「Creative Professional」の最下位廉価モデルという位置づけで販売された。
型番は「出力4チャネル(04)、入力4チャネル(04)」(注1)を意味する。
これは一言で言ってしまえば、開発当時Creativeの主力サウンドカードであったSound BLASTER Audigy 2にFPGAによるカスタムチップを付加して低レイテンシのASIO対応とSyncドーターカード(オプション)による業務用オーディオ機器などとの信号同期機能を実現したものである。
ちなみに搭載チップの一方をUnkonwとしているのは、公式にはE-DSPと称し、シールを上から貼付してパッケージ表面を隠しているこのチップには型番表記がない(注2)ためである。ただし、パッケージサイズやピン数、それに要求される機能から判断する限り、これは廉価版のCA0106系ではなくCA0102系で、このチップが基本的な機能を、XC2S50Eが同期制御などの拡張機能を受け持っていると考えられる。
DACは旭化成マイクロシステム(AKM)のAK4395VFで、デジタルオーディオレシーバーとして同じくAKMのAK4112BVFを搭載する。AK4395は192KHz 24bit出力に対応するものとしては下位のモデルだが、これでも当時Augdigy 2系のカードに、そしてその後もX-Fi系のカードに延々と搭載され続けたCIRRUS LOGICのCS4382系よりは良い選択(注3)で、実際にもダイナミックレンジ・S/N比が共に116dB(出力)とAugdigy 2系カードに比して+10dBと大きく向上している。なお、対応サンプリング周波数は44.1・48・88.2・96・176.4・192kHzで、サンプリングコンバートは行わない。
搭載オペアンプは新日本無線のNJM2068で、これは凡庸な選択となっているが、発売時に1万3千円前後というASIO対応オーディオカードとしては廉価な価格設定となっていたことから考えると、ここはコスト面の制約から妥協があったと考えられる。また、搭載されているキャパシタはSound BLASTER系カードと同様、どれもこれも低品質な85℃品で、コスト面の制約によるものであろうが、これも音質面で足を引っ張っていると見て間違いないだろう。
SPDIF同軸(RCA)・光入出力(TOS)、MIDI入出力、アナログステレオ入出力(アンバランス・ステレオジャック)を2組のD-SUB端子による専用ブレイクアウトケーブルを用いて外部と信号のやりとりを行い、特にSPDIF光入出力については小型のブレイクアウトボックスをケーブルに直付けとしている。
カード本体には使途非公開のピンヘッダおよびSyncドーターカード用入出力を除くと、これらのブレイクアウトケーブルの接続端子しか設けられていないため、ケーブル2組を紛失すると使い物にならなくなってしまう。
機能面では、ドライバがデバイスドライバとミキサーソフトウェアで構成され、ミキサーのルーティング設定を行わなければWindowsのサウンドデバイスとしての使用ができない。
また、Windows用ドライバのAPIとしては、WDM、DirectSound、ASIO 2.0をサポートするが、Direct Sound 3DやEAXはサポートしない。
音質面では、DACの差の分だけSound BLASTER Audigy・X-Fi系の各カードに対して一定のアドバンテージがあるが、オペアンプなどで低コストを優先したため、目立って良い、というレベルではない。
ちなみにこのカードのドライバーは、Audigy・X-Fi系の各カード用ドライバが先にインストールされていると、より新しいバージョンのドライバーが既にインストールされているとしてインストーラが終了してしまう(注4)という困った挙動を示すため、ドライバのパッケージをWinRARなどで一旦解凍し、中に収録されているデバイスドライバの個別インストーラを用いて上書き指定でインストールを行う必要がある(注5)。
なお、公式ドライバとしてはWindows XP(x64版を含む)、Windows Vista(x86・x64)がサポートされていてWindows 7は現状ではサポート対象外となっているが、E-MU SystemsのサイトではWindows 7用β版ドライバが案内されており、これをインストールすることでWindows 7 Professional x64で特に問題なく動作することを確認している。
総じて、ハードウェアの出来は悪くない(注6)が、それをソフトウェアがスポイルしてしまっている印象を受けるカードである。
(注1):アナログステレオ入出力とSPDIF入出力を合計した数値。嘘はついていないが微妙な印象を与える型番ではある。
(注2):実際にシールをはがして確認した。製造ロットを示すと考えられるコード以外には、このチップのパッケージ表面には一切表記がない。
(注3):Sound BLASTER系カードではこの時期、6.1chあるいは7.1chとアナログ出力の多ch対応がセールスポイントとなっていたため、7.1ch出力を実現するのに4チップ搭載を要するこのDACは、コストが過大で積みたくとも積めなかったというのが実情であろう。
(注4):このことから、本カードのドライバはAudigy・X-Fi系の各カード用ドライバが基本となっている、あるいは少なくともファイル名が共通となっている、ということが判る。せめてファイル名をリネームすればこのようなトラブルは回避できるはずで、このあたりの手抜きは正直感心できない。
(注5):このことからも判るように、Audigy・X-Fi系の各カードとは共存ができない。
(注6):ただし、良いとも言い難い。
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