SOUND TRACK YMF-754 i-PHONE DiGiTAL XG GOLD / HOONTECH


接続バス:PCI Bus (32bit 33MHz 5V)

サウンドコントローラ:YMF754-R / YAMAHA + STAC9708T / SigmaTel

対応機種:PC/AT互換機

動作確認マザーボード:S2466N-4M Tiger MPX


 時期的にはXwave6000のYMF-754搭載版と同期かやや遅れて登場した韓国HOONTECHのSOUND TRACK YMF-754の上位版。

 オプションのSPDIF入出力モジュール(XG DB I)とハンズフリーマイク(ヘッドセット形式でイヤホンとマイクが一体になっている)が付属するパッケージで、その名の通りインターネット電話での利用を目論んだ物である様だ。

 SOUND TRACKシリーズは、PCIカードなのにPnP非対応で設定が非常に難しくSPDIF入出力に目が眩んで購入したマニアを大混乱に陥れたSOUND TRACK 128をはじめ、伝統的にSPDIF入出力への対応と音質へのこだわりの強い製品を連発しており、その筋ではそこそこ知られたブランドなのだが、実はこの会社、元々韓国のPC用SB互換ISAサウンドカード市場で一時トップシェアを取ったオクソリ(その昔、今は亡き緑電子がここの製品を自社ブランドで扱っていたのをご記憶の方もおられるのではなかろうか)の創業者、金範勲氏がオクソリをハンソルに売却後に設立したもので、その意味では非常に由緒正しい歴史を持っている。

 それは良いのだがこの会社、どうも自社製品で閉じたマルチメディア環境を構築させたいらしく、このSOUND TRACK YMF-754をはじめとするSOUND TRACKシリーズではSound BLASTER系や一般的なYMF-7x4カードで採用されているのとは異なる特殊なタイプのコネクタが多用されており、長さが不足したり破損したりしてケーブルを交換したい場合、あるいは空いているコネクタに機器を接続したい場合等に専用ケーブルの入手に(少なくとも日本では)非常に困る、という厄介な問題があって国内ユーザーを悩ませる事となった。

 ちなみにこの会社は公式サイトを見るとデジタルアンプ等の製造販売も手がけている由で、この関係からか業務用のAES/EBUデジタル入出力端子がXG DB I上に用意されているが、通常の用途ではこのコネクタを使用する機会はないだろう。

 それ以前に、そもそも業務用途でわざわざこのクラスのカードを使う機会があるとも思えず、その意味ではこれは無駄に豪華な仕様である。

 肝心の音質はアナログがAudio Cyclone SP410Dと同等程度で、特に良いと言う程の物でもなく、またSPDIF入出力に必ずXG DB Iを要する=カード本体以外にもう1本空きスロットを消費する、という問題もあるので、もし貴方がSP410Dをお持ちならばわざわざ乗り換える程の物でもないだろう。

 なお、このカードとXG DB Iとの間は通常のピンヘッダで接続されるのだが、同軸だけではなくOpticalの入出力を持つ関係で5Vが給電されており、うっかりケーブルを挿し間違えてこのピンがGNDに接続される様な事態が発生すると、カードが燃え出す危険があるので、これらの接続には特に注意されたい。

 なお、この点についてだけはLive!やAudigyシリーズで同様のSPDIF入出力モジュールを提供しているCreativeの対応が良く、誤挿入防止のために一部のピンを省略する/ピン穴を塞ぐなどした特別なケーブルを製品に付属させている事は明記しておかねばなるまい。

 これは総体的には特に良くも悪くもない、という類のカードで、その割に価格が高かったので筆者には正直良い印象が無い。


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