PC-1416GS

 PC-1405G/1415Gに続く教育専用機。スタイルが他のポケコン同様薄いものだけになり、CPUはESR-H(SC61860系)に戻り…ってあれ? GS? GSて何?

 ネットでいろいろ調べてみても「存在を知っている人」はいても「持っている人」には行き当たらず…そんな「珍」ポケコンの入手に成功しました。末尾に"S"が付くのは前モデルからの改良版。つまりPC-1416Gから何か変えたということなんでしょうが…?



 素性はPC-1416Gと同じCAP-Xポケコン、というかそれ以外も特に変わった印象はありませんが…?



 箱はポケコン1台のみが入るタイプ、取説は別途…のつもりなのでしょうが、それより「サンプル」の但し書きが目を引きます。サンプルってどういう意味?? 箱デザインがシンプルすぎる(横も裏も真っ白)なのはサンプルだから…?

 さすがに現場…つまり学校のことはわからないので推測なのですが、三学期くらいに次年度のカリキュラム検討用として1台〜数台のポケコンを配給してもらう仕組みがあったのかもしれませんね。特にまだポケコンを導入していない学校では、どんな内容が学べるのか、導入済みの学校を見学する方法もあるでしょうが、実際に先生が使ってみて試してみたり、学校オリジナルの制御ボードを三学期の内に作ってしまうということも考えられるでしょう。

 それとは別に当時の状況を考えると、前年にPC-1416G/PC-1440でCAP-Xポケコンを登場させておきながら、わずか1年でCASLポケコンが必要になりPC-1417G/PC-1445が必要になったのですけど、学校の現場はそれほどすんなりカリキュラム変更できるとは限らなくて、当面はCAP-Xを継続するところもあるのではないか…とか考えたりしたのではないでしょうか。そこで、1987年度用教材のサンプルとしてPC-1417GだけではなくPC-1416GSを用意して学校に選択肢を与えた、とか…。

 とするならば、PC-1416GSはPC-1417GのROMをCAP-X用に変更したものでは? 基板を見てみたらそれがわかるんじゃない? …と一瞬思いましたがリセットスイッチの位置とか液晶の大きさとか違ったんですね。これは明らかにPC-1416Gの流用か…。





 てなわけで裏蓋を外してみたわけですが…

な ん ぞ こ れ ??



 まぁLSI部品としても他機種同様シンプルで…メモリとして6116が二つあって上が液晶ドライバ、右下がCPUでその左が…。



 QFPタイプのEPROMですね。27C256-25とか書いてあります。これはワンタイムとかでもなく、普通に窓付きのROMみたいですね。



 ROMの背が高いので穴を開けたみたいです。丸い切り口に加工痕が…。



 サンプルだからなのか、ハードカバー裏に貼られているはずのエラーコード一覧とか電池交換方法とか何かのシールがありません。

 どうも箱書きの「サンプル」というのは、学校向け事前調査用サンプルではなく、試作機ということを意味するのではないかという気もしてきました。前述のとおり継続使用する学校が現れるのに備え(CAP-XからCASLへの変更は現場で相当動揺したのかも)、PC-1416Gを改造する形で準備し(ROMが違うのは判明していたバグなどを改修したため)、少数を製造して対応したのでしょうか。マスクROMではないのは量産しない可能性が高かったため?

 オーナーが発見できないという事実から見ても、PC-1416GSは量産されず幻に終わった可能性は高そうですよね。生徒のモチベーションとして情報処理技術者試験に合格するという目標を持ってもらうことを考えるなら、1987年の時点でCAP-Xポケコンは不要だったはず。量産されなかったとすればうなづける理由となるでしょう。

 問題は本当に1987年度用ポケコンだったかどうか…当時の雑誌の新製品情報記事に取り上げられてないでしょうかね…プレスリリースも打たれてないかなぁ…。

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