PC-5000
![]() その昔、「ラップトップパソコン」というジャンルがありました(ていうかラップトップもロストテクノロジーかいな)。まだまだ小型化が難しかったパソコンを、どうにか小型化して移動可能にしたというもので、膝(ラップ)上(トップ)に置いて使用することができる、ということになっていました。PC-5000はそのラップトップ機と同様の使い勝手・重さのパソコンですが、ラップトップパソコンという言葉が生まれる前の製品ですね。 シャープとしても初めてのコンセプトのマシンで、同様のスタイルを持つパーソナルワープロよりもずっと以前の1983年製。ちなみに世界初のこのコンセプトのマシンはGRiDというメーカーが1982年に出した製品で、PC-5000は二番手グループということになります。多分日本に限れば初めてではないかと。 さてこのPC-5000、実はIBM PC互換機であると言われています。オプションの2Dフロッピーの容量が360KBだったりとか状況証拠はいくつかあるんですが、まだ日本国内にIBM
PCの文化が根付いていない時期でもありましたから、当時もそんなことが話題になることはなく、「ほら、このプログラムが素直に動くところなんかIBM
PCの証拠だよ」なんて話もありませんでした。当時の16bitマシンの一部はIBM PC互換だったりすることがちょくちょくありましたので、手っ取り早い製品化には良い方法だったのかも知れませんが。 |
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![]() キーボードの右上は磁気バブルメモリカートリッジスロット。 |
![]() シリアルというのは、オプションのキーパッドを接続するための専用コネクタで、だったらキーパッドとか書けばいいと思うんですが、律儀に通信方式を表示しちゃってますね。 拡張バスというのは、拡張ユニットを接続して拡張ボードが使えるようになる…というものではなくて、フロッピードライブCE-510F(5インチ)/CE-511F(3インチ)を接続するためのポート。パンフレットを見るとドライブ側にI/Fを内蔵しているとありますので、フロッピー専用ではなくそれなりに汎用の信号で構成しているのでしょう。 |
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![]() 表示画面は80桁×8行、漢字表示で40桁×4行。行数はともかく、桁数でデスクトップパソコンと肩を並べる表示領域を確保できる(当時としては)巨大な液晶ディスプレイを搭載できたことが、商品化のひとつの条件だったと考えられます。 |
こういうポータブル機というのは、その後いろいろなメーカーがいろいろなコンセプトで挑戦するようになるジャンルなんですが、先述のラップトップパソコン登場までは注目されるものの今ひとつヒットに結びつかないものばかりでした。その最大の原因は、ポータブルにするがために発生する機能削減でしょう。それを誤魔化すように携帯性を強調したり何かの専用機のようなコンセプトを打ち出して商品化してきたのですが、消費者が待っていたのは専用機ではなく「持ち運べるパソコン」。もちろんそれはメーカーだって作りたいものではあったんですが、その思いに技術が追いつくまで時間がかかったということなんでしょうね。
実は消費者は「小さいならば小さいなりに安くなって当然だ」と思っていることに、メーカーが気づくまでさらに数年の歳月を要したわけですが…。
![]() インクリボンが右のリールにほぼ全て巻き取られてますので、もう使えなさそうですね。手には入らないだろうな…。あ、感熱紙に印刷すればいいのか。 |