MTSAM64GZ Grizzly / Micron Technology


CPU Type:Slot 1 (SC242) *2

Chip Set:L2A1277(SAMURAI 64M2) *2 / Micron Technology + FW82371EB(PIIX4E) + S82093AA(APIC) / Intel

FSB Clock:66, 100MHz

RAM Module Type:168pin 3.3V PC/100 Unbuffered SDRAM DIMM *4*2

Ext.Slot:64bit 66MHz PCI *2, 64bit 33MHz PCI *2, 64bit 33MHz PCI/ISA *1

Ext.Onboard Device:AIC-7891B + AIC-3860Q / Adaptec (Ultra 2 Wide SCSI) , i82558 / Intel (100base-TX LAN)

Power Supply Type:ATX

Board Form:Extended ATX

BIOS:PhoenixBIOS 4.0 Release 6.0


 1999年にメモリメーカーであるMicron Technologyが発表した、P6系CPU対応の64bit PCIバス搭載チップセット(North Bridge相当)であるSAMURAI 64M2を2基搭載するDual Slot 1マザーボード。

 1990年代後半から2000年代初頭にかけて、Micron TechnologyはSAMURAIの名を冠したPC用チップセットを幾つか開発しており、SAMURAI 64M2はその一つである。

 このボードは日本においては正規ルートでの販売こそ無かったものの、2000年春に今はなき秋葉原のPCショップUSER'S SIDEがごく少数(注1)を輸入販売した事で知られる。

 同型NorthBridge相当チップを2基搭載し、動作周波数の異なるPCIスロットが存在することで明らかなように、このボードに搭載されたSAMURAI 64M2チップは各CPUと共にFSBに接続され(注2)、それぞれのチップが独立したメモリバスと64bit PCIバスを備えるという、非常に贅沢な設計となっている。

 この構成によりDIMMソケットは無理なく4*2=8基実装が可能となり、またPCIスロットも高速を要求されるストレージ・ネットワーク系とそれ以外を分離するのが容易となった。

 もっとも、その一方でこのボードには当時グラフィック用で猖獗を極めていたAGPスロットが搭載されていない。

 SAMURAI 64M2のベースとなったSAMURAIチップセットの発表が1997年で、Intelで言えば初のAGP対応チップセットであるIntel 440LXがデビューしたのがこの年だから、SAMURAIにAGPがサポートされていないことには得心が行く。だが、SAMURAI 64M2が開発されていた時期には既にAGPはx2モードのものが一般化しており、そればかりか次世代のx4モードに対応するチップセットが出現し始めていた。そのことをふまえると、SAMURAI 64M2チップセットでAGPを全くサポートしなかったことには、やや疑問が残る(注3)

 このボードでは、一方のSAMURAI 64M2のPCIバスがそのまま2本の64bit 66MHz PCIバススロットに接続され、もう一方のSAMURAI 64M2のPCIバスが3本の64bit 33MHz PCIバス、SouthBridgeである82371EB(PIIX4E)、それにLANコントローラやSCSIコントローラに接続されていると推測される。

 一応ISAバススロットもあるがこれはPIIX4Eに内蔵されたコントローラによるもので、BIOS ROMやNational Semiconductor PC87309-ICK/VLJ スーパーI/Oコントローラの接続のついでで実装されているようなもの(注4)である。

 なお、対応CPUはKatmaieコアのPentium IIIまでとなっており、最速はPentium III 600MHzとなる(注5)

 メモリはUnbufferedのPC/66・PC/100 DIMMに対応し、CPUスロット直近にバッファチップを実装していることからも推測できるように、Registeredタイプのメモリは対応しない。もっとも、ECC機能はサポートされており、サーバとして運用することは可能な設計であった。


 (注1):PC Watchなどでの報道を見る限り、少なくとも10枚以上、恐らくは多くとも30枚以下程度の数の本製品が同店によって日本へ輸入・販売されたと推測される。

 (注2):P6アーキテクチャの仕様やAPICにIntel純正の82093を搭載していることから、2基のCPUと2基のSAMURAI 64M2は1本のFSBで接続されていると推測される。

 (注3):但し、同時期のライバルに当たるServerSet III HE・WS・HE-SLなどが複雑な機能を備えたメモリコントローラや大規模なチップ構成もあってかAGPの機能をサポートしきれず、AGP対応グラフィックカードとの間で凄まじい相性問題を引き起こした事を勘案すれば、無理にAGPをサポートしようとしなかったMicronの判断は、本ボードの販売実績などから推測される開発チームの規模も考慮すると、非常に賢明であったと言えるのであるが。

 (注4):本製品の開発時点では既にサウンドカードもPCIバス対応への移行が急速に進展しつつあり、一般向けでは無理にISAスロットを実装する必要は無くなりつつあった。もっとも、それでも一部の特殊用途カード(ブートセレクタカードなど)ではISAのみ対応のものがこの時期にはまだ幾つか残存しており、サーバ用ボードでもISAスロットを1本、PCIスロットと排他利用の形で実装する機種が多く見られた。

 (注5):海外のとあるWebサイトではRev.4でCoppermineコアサポートと書かれていたのだが、VRMの電圧制御コントローラにLinear TechnologyのLTC1533CG(Pentium II用)を積んでいる以上、どうあがいても最低電圧は1.8Vとなり、CoppermineコアのCPUが求める所まで電圧降下ができない、ということになる。また、少なくとも筆者が電圧変換機能を備えるPL-iP3/Tを併用してSocket 370版のCoppermineコア搭載Pentium IIIを試した範囲では、BIOSを入手可能な範囲で最新のVer.1.04へ更新しても動作しなかった。


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