P3B-F / ASUSTek


CPU Type:Slot 1 (SC242)

Chip Set:82443BX (440BX) + 82371EB (PIIX4E) / Intel

FSB Clock:66, 75, 83, 100, 103, 105, 110, 112, 115, 120, 124, 133, 140, 150MHz

RAM Module Type:168pin 3.3V PC/66・PC/100 SDRAM DIMM *4

Ext.Slot:x2 AGP *1, 32bit 33MHz PCI *5, 32bit 33MHz PCI/ISA *1

Power Supply Type:ATX

Board Form:ATX

BIOS:Award Modular BIOS v6.0


 本来はACPI正式対応モデルたるP2B-Eの登場までの中継ぎのつもりでその派生型として開発されながら、その大本命がACPI実装の問題から発売を見合わせた為に、成り行きでASUSTekの主力商品となってしまったP2B-Fの後継・改良版に当たる製品である。

 MS-6163がお嫁に行く事が決定したので代替用として1999年7月25日に購入した。

 上のスペックで明らかな通り、これは私の様な人間にとっては長年の念願であった、ATXで規定される7本のスロットでAGP+PCI*6構成が可能なマザーボードであり、しかもジャンパ設定ではあるが本来3.3Vが供給されるラインの昇圧が可能になるなど、あちこちの仕様が細かく煮詰められた、シングルCPU対応440BXマザーの最終形態とでも言うべき機能を満載している。

 但し、6本PCIスロットがあると言っても全バスマスタではなく、4本のバスマスタ+2本のスレーブという構成になっている事には留意しておく必要があろう。

 この点に関してはチップセットの仕様(440BXの場合、PCIデバイスのバスマスタはATAインターフェイスを含め全部で5スロットまで)に依るものであるので是非もないが、出来ればFREEWAYのFW-6280BXDR/155の様にPCI to PCIブリッジチップを搭載する事で全スロットについてバスマスタ動作可能な構成にして欲しかった所ではある。

 本来3.3Vのラインの昇圧が可能な事でも想像が付く様に、このマザーボードの、そして他の多くのASUSTek製マザーボードの電源回路はATX電源が供給する3.3V出力を殆ど使用せず、入力される5V電源をレギュレータで3.3V+αに降圧して用いる事で回路動作上のリスクを回避する設計とされている。

 これは電源事情の宜しくない(本来115Vで動作すべき電源を“実力”で誤魔化せる下限である100Vで利用しているのだから宜しい訳も無いのだが)日本市場では非常に効果的な対策であり、特にデリケートで問題の出易い3.3V出力で問題が表面化しない分、「電源を選ばない」し、定格+αで必然的に「オーバークロック時の安定性が上がる」為、日本にASUSTekの支持者が多い理由の一つとなっている。

 まぁ、1社が市場において有効な技術的工夫を見せるとライバル会社が容赦なく模倣するのが台湾のマザーボードメーカー群であるから、この回路設計上の工夫も日本市場に熱心な各社のSloy 1マザーボード(例えばMS-6163など)には既に取り入れられている。

 いずれにせよこの辺の回路設計面での巧さは見事であり、同じチップセットを用いて少しでも高く安定したパフォーマンスを出す為の工夫を惜しまないその姿勢は流石であるが、ことこのP3B-F、特に私が手にした初期のロット(リビジョン1.00)についてはP2B-Fからの変更点に集中的に問題が発生していて、随分と手を焼かされた。

 特に、ASUSTek製としては初採用となったジャンパーフリーのBIOS(JumperFree BIOSという芸の無い名前がASUSTekの登録商標になっていた)によるCPUクロックなどのハードウェア設定機能には問題が山積みで、少なくとも私の使用経験に照らす限りでは、ショートピンでジャンパフリー機能を殺す以外には、この厄介な問題を解決する手段は存在しなかった。

 これはP2B-F同等で使用する分には極めて安定したボードだったという事であり、逆説的にP2B-Fの設計の素晴らしさを証明している様にも思える。

 また、このボードのBIOSは購入時点では未完成も良い所で、Sound BLASTER Live!を挿すとシリアルポートの動作に異常が出るなど、結構厄介で深刻な問題が幾つか見られた。

 その後どんどんBIOSの更新が実施されて問題の解決が図られている様だが、あそこまで頻繁な更新というのも何か間違っている様な気がする。

 なお、このボードは1999年8月10日に唐突に起動不能になって修理に出す羽目に陥った。

 多分初期故障なのだと思うが、お陰で長期間使用不能という事になり、慌てて知人から代品となるEP-61BXC-Aを借りたりした。

 まぁ、このボードが壊れなければあのThunderboltには御縁が無かったのも確かなのだが(苦笑)。

 このボードを修理に出している最中に例の地震が台湾を襲った訳だが、どうもこの時にASUSTekの工場は相当な打撃を受けたらしく1999年10月14日に「台湾の工場が壊れてとても修理出来ない状況なので代品と交換」という事になった。

 ちなみにこの時受け取った新品の方のリビジョンは1.05であった。

 最終的にはThunderbolt購入予算捻出の一環として知人に売却したが、そこでもトラブルを出しているらしい(苦笑)。

 世間一般の評価はともかく個人的には全くお勧め出来ないマザーボードである。


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