S4985G3NR Thunder n4250QE / TYAN
CPU Type:Socket 1207 (Socket F) *4
Chip Set:nForce Professional 2200 (CK804pro) + nForce Professional 2050 (IO4) / nVIDIA
FSB Clock:200MHz
HT Link:1.0GHz
Memory Clock:200,266,333MHz
RAM Module Type:240pin 1.8V PC2-3200・PC2-4200・PC2-5300 ECC Registered DDR2-SDRAM DIMM *4*4
Ext.Slot:PCI Express x16 *2, PCI Express x4 *2, 32bit 33MHz PCI *1
Ext.Onboard Device:XG20 Volari Z7 / XGI (VGA:VRAM 16MB) , 88E1111CAA / Marvell (GbE PHY)*2 , 82541P1 / Intel (LAN)
Power Supply Type:SSI EPS12V v3.5(24+8+8)
Board Form:SSI-MEB
BIOS: Phoenix BIOS
2006年末に発売が開始された、TYAN初のQuad Socket F対応マザーボード。
13インチ*16インチ(SSI MEB)という今となっては法外に巨大なフォームファクタを採用した一品である。某ジャンク屋で無保証\980(注1)で購入したものだが、幸いなことに生きていたのでここで記しておこう。
TYANのSSI-MEB規格Quad Opteronマザーボードの系譜は、AMD-8000系搭載のS4881 Thunder K8QW、PCI-Xスロット搭載としたThunder K8QS Pro(S4882)、S4882をさらにDual Core Opteron対応としたThunder K8QSD Pro(S4882-D)、nForce Professional 2200+2050搭載のThunder K8QE (S4885)とSocket 940で3代続いた後、このS4985でSocket Fへ移行しており、このボードはチップセットが同じS4885のSocket F版となる(注2)。
また、S4885の構成を踏襲したため、このボードもオプションのM4985ボードをCPUソケット間に配置された2組のHyper Transportスロットに接続することで8ソケット構成に拡張可能となっている(注3)。
要するにこれはThunder K8WEを4ソケット構成にしてPCI-Xサポートを省略し、さらにソケットF対応としたもので、チップセットレベルではGeForce系グラフィックカードによるSLI動作ができても不思議はない構成だが、マニュアル等にはそれについての言及は一切無い。
機構的な制約として、CPU#0・1の2ソケットにCPUが搭載されていないとチップセットやオンボードデバイスの全機能が使えない点はThunder K8WEやTuunder n6650Wと同様である。
チップセットが一世代古いものの、設計面では総じてThunder n6650Wとの共通性が強く、5フェーズ構成のデジタルVRMを搭載することで、これまでVRM周囲に林立していた電解キャパシタ(ケミコン)をCPUソケット周辺から追放した実装となっている。
このボード、24ピン + 8ピン(EPS12V)*2 + 4ピン(ATX12V) + 4ピン(HDD)とやたら沢山の電源コネクタが搭載されているが、これは4CPU搭載に伴う消費電力増大に対応したもので、24+8*2が接続必須、4ピンコネクタは大容量メモリ搭載時の安定性確保用としての追加(注4)、という扱いになっている。
何にせよひどく巨大なボードで、そもそも収めることの可能な筐体が市場にほとんど存在しない(注5)、という厄介な代物である。
もっとも、いざ動き出した後の挙動は意外と素直で、オンボードのSATAコネクタ8ポート全ての使用さえ望まなければ(注6)、Thunder n6650WやThunder K8WEといった同系チップセット搭載のDual CPU対応マザーボードと同様の取り扱いが可能(注7)である。
なお、対応CPUはBarcelonaコアのQuad Core Opteronまで(注8)となっている。
(注1):どうも特殊構造の専用筐体に収めて使用されていたらしく、リテンションのベースプレートにCPUクーラー固定用スタッドの立っていない、スタッド穴の部分を避けた構造の専用品が装着されていた。こいつを汎用のソケットF用ベースプレートに交換しない限りまともにCPUクーラーさえ装着・固定できず、CPUを積んで動作チェックをすることさえマトモにできないので、このような格安処分になったらしい。ちなみに汎用のソケットF用ベースプレートはソケット939/940のそれとも、ソケットAM2/AM3のそれとも違う専用設計で、一般市場にはほぼ流通していない。しかし、幸か不幸か筆者の手元には死んだDual Socket Fマザボが2枚あったので、そこから流用することで所用数を確保できている。このあたりの地獄のような手間を考えると、\980でも実は全然安くないのである。
(注2):実際に拡張スロット構成やオンボードデバイスが同一で、ブロックダイアグラムもほぼ共通となっている。
(注3):このM4985は、24ピンATX電源コネクタ1系統と8ピンEPS12V電源コネクタ2系統をS4985とは別に給電する、つまりこれを組み込んだマシンは実質850Wクラス以上の大容量電源2台を同時接続しないとまともに稼働しないという、とんでもない代物である。
(注4):マニュアルによれば“You also need to connect the two 4-pin power supply for the power of processor if you want to use Quad Rand memory."とあり、これら2コネクタもCPUに給電する電力を増加させ、消費電力の大きな大容量メモリ実装時の動作安定性向上を図るために用いられる事が判る。。
(注5):TYANやSupermicroの販売している筐体を別にすれば、ラックマウントサーバ用5U筐体の一部に対応製品が存在する程度にとどまる。ちなみに筆者は、OWL-603D(B)/N という手元で余っていたオウルテックのE-ATX筐体の内部を板金加工し、電源を外出しにして無理矢理収めて使用している。
(注6):オンボードSATAコネクタはチップセットレベルで1チップにつき4ポートしかサポートされていないため、8ポート全てを使用するにはnForce Professional 2200の4ポートに加えてnForce Professional 2050の4ポートもBIOSで有効にする必要がある。しかし、nForce系チップセットのSATAコントローラはリソース消費が過大で、8ポート有効状態では実質的に拡張スロットの利用が不可能に近い状態に追い込まれる。
(注7):無論、搭載可能CPUはデュアル構成のマザーボードとは異なるし、拡張スロットやオンボードデバイスの構成も異なるので、全く同じに扱うという訳にはゆかないが。
(注8):公式にはBarcelona世代のQuad Core Opteronさえ非サポートであったThunder n6650W(無印)とは異なり、こちらはOpteron 8360SEまでが公式サポートされており、CPUの拡張性の点で多少有利である。
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