GA-NB IV / I-O DATA
Graphic Acceralation Chip:CL-GD5434 / Cirrus Logic
RAM:EDO DRAM 4MB
Bus:C Bus (16bit 10MHz)
動作確認マシン:PC-9821As2/U8W
Cirrus Logic製のRAMDAC内蔵チップであるCL-GD5434(“Alpine”という一連のファミリの最上位機種であった)を搭載したPC-9800シリーズ用の廉価版グラフィックボードである。
このボードが開発されたのは各社とも低価格化の道を模索していた時期で、この頃に高周波動作するアナログデバイスの最たる物であるRAMDACと、高速動作するデジタルデバイスであるが故に最悪のノイズ発生源であるグラフィックアクセラレータを無理なく1チップに収める技術で打って出たCirrus Logicは、低価格化路線の寵児として一躍名声を得る事になった。
但し、正直な所を言えばこのボードあるいはチップには好印象は全く無い。
確かに速度的には同じI-O DATAの先行製品であるGA-1280Aよりは高速なのだが、如何せん肝心の画質が内蔵RAMDACの性能が低い為もあってか最悪で、折角の大容量RAM搭載(高速だが複雑で高価なデュアルポートVRAMではなく、シングルポートだがそこそこ高速で安価なEDO DRAMを使用した例としては最初期の事例ではなかったろうか? 但し、この時点ではEDOと言えども遅い印象があった。なお、これは64bitバス接続になっている)による高解像度もそもそも視認に耐えないのではお話にならなかった。
RAMDAC内蔵はコスト低下には役に立つが、ノイズ問題を考えたら画質向上には何の利益にもなり得ない。
その事を私はこのボードで嫌という程思い知らされた。
もっともその辺はボードメーカーとチップメーカーの双方のノウハウ不足もあった様で、この後のボード/カードではそこまで致命的にはならなかったのであるから、これは初期製品の宿命とでも思って諦める他あるまい。
私個人の評価はディスプレイにナナオのFlex Scan E57T導入直後、それも当時至高の画質と描画速度を誇ったPower Window 964LBの使用後の話なのでこの通り最悪なのだが、世間の評価を見ているとこのシリーズの製品に対してそれなりに好意的な意見もある様で、その辺はかなり微妙な所なのかも知れない。
ちなみにIVという型番が付いている事で想像が付く様に、この製品には1MB版(NB I)、2MB版(NB II)、それに4MB版(NB IV)の3種類のバリエーションが存在していた。
もしかすると、下位バージョンの場合は高周波数で動作しない分、RAMDACの欠点が見えにくかったのかも知れない。
実はこのボードはWindows NT 4.0用に964LBのドライバが書かれない事に対する対策として入れてみたのだが、およそ使い物にならず、As2の時代の幕引き役を演じたに留まった。
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