GA-PII8/PCI / I-O DATA
Graphic Acceralation Chip:Permedia 2 / 3D Labs
RAM:10ns SGRAM 8MB
Bus:PCI Rev.2.1 (32bit 33MHz 5V)
動作確認マシン:PC-9821Xv13/R16、PC/AT互換機(S1837UANG Thunderbolt)
Open GL対応ハイエンドグラフィックチップとして名高い、GLINTシリーズを擁する3DLabsが1997年に発表した、実質的に同社初のコンシューマー向けグラフィックチップであるPermedia 2を搭載するカード。
先行登場でこの系列の初代に当たるPermediaは一応コンシューマー用という触れ込みであったもののドライバがNT用しか無く、とても一般人の手の出るような製品ではなかった。これに対し、こちらの方では当然にWindows 9x用ドライバが提供されている。
このカードはPermedia 2の出荷開始直後に登場した製品で、当時のPermedia2搭載カード各製品中でもそれなりに高いプライスタグが付けられていた。
ハード的にはS/同軸ビデオ出力端子が実装されているのが特徴で、NTSC規格のビデオモニタへの出力をサポートしている。
Permedia 2は3D LabsとTVP-3025等のRAMDACで知られるTexas Instrumentsの共同開発(3D LabsのGLINT搭載グラフィックカードであるOxygenシリーズにはこのTI製TVP-302x系RAMDACが採用されていたから、恐らくその辺の取引関係から出たものであろう。ちなみにこのPermedia 2はTIの販売網経由でも販売されたので、TVP-4020というTIでの型番も与えられている)によって誕生したチップであり、言ってみればGLINT系のサブセット版コア+VGAコア+TVP-302x系RAMDACを1チップ化した様な製品であるから、画質は当時のRAMDAC内蔵チップとしては傑出した出来で、当然に3D機能も充実しており、殊にWindows NT上でのOpen GL環境では非常にコストパフォーマンスの良いカードという印象があった。
実際、2Dのアクセラレータとしてみると当時のNEC純正の最上位にあったMilleniumと同程度か少し劣る程度のGDI描画性能に、かなりまともなDirect Draw描画性能、それに何よりMilleniumでは不可能な高解像度(1600*1200以上)でのフルカラー表示が可能になる等、結構優秀な性能を実現しており、3Dはともかく2Dだけでも既存製品からの乗り換えに踏み切るだけの価値があった。
但し、残念な事にこの製品は初期ロットの一部にハードウェアの設計ミスがあって回収騒ぎが発生しており、またそれに加えてドライバにも初期バージョンで問題が多発した事が知られており、それ故あまり好意的な評価が得られなかったのは事実である。
また、Permedia 2はOpen GLアクセラレータとしてのその優秀性とは対照的に、当時台頭しつつあったWindows 95上でのDirect 3Dの要求する機能のドライバへの実装には問題が多かったチップで、同環境での機能実装の程度で言えば3Dアクセラレーション機能を実装した事実上第一世代に当たるS3のViRGEよりは幾分マシ、といった程度(実装率で言えばMatroxのG200と同じ程度)に留まり、当時流行していたベンチマークソフトのFinal Realityでは「サーチライトの光が黒い」という理解に苦しむ現象(これについては、随分経ってからドライバ側で対策が実施された)が発生するなど、素人でも一目見るだけで判ってしまう様な問題が幾つか散見された。
この為、一般のAT互換機用2D/3D兼用グラフィックアクセラレータチップとしてはその登場が華々しかった割に、当初メーカーサイドが期待していた程の大きな成功を収める事が出来なかった節がある。
無論、Windows NTの高解像度フルカラーによるOpen GL環境でまともにハードウェアアクセラレーションが機能するチップという事で、ごく限られたOpenGL系3Dソフト市場向けでは入門用チップ/カードとしてそれなりの成功を収めたが、それさえもRIVA系チップのハード/ソフト両面での進化によって駆逐されて行き、最終的には廉価販売されるエントリモデル用チップに成り下がってしまった。
同時期の#9製Revolution 3Dがそうだった様に、これもそれまでの平均レベルから考えれば画期的な製品であった筈であるし、事実そこそこ以上の販売実績も残しているのだが、如何せん比べられる相手が悪かった(歴史的傑作であるRIVA 128が対抗製品であったというのは全くもって不幸以外の何物でもない)為、他に選択肢の無かったPC-9821ユーザー以外からは正しく評価して貰えなかった不遇な製品である。
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