Imagine128 Series II VRAM 4MB / Number Nine Visual Technology


Graphic Acceralation Chip:Imagine128 Series II / Number Nine Visual Technology & CL-GD5424 / Cirrus Logic(最終期モデルでは省略)

RAM:70ns Dual Port EDO DRAM 4MB (for Imagine128 Series II) + 70ns Fast Page DRAM 512KB (for CL-GD5424:最終期モデルでは省略) + 70ns Fast Page DRAM 512KB (for Masking Buffer / Option:最終期モデルでは省略)

Bus:PCI Rev.2.0 (32bit 33MHz 5V)

動作確認マシン:PC/AT互換機(S1837UANG ThunderboltMS-6163)


 グラフィックアクセラレータカードの名門、Number Nine Visual Technology(以下#9と略記)が1996年に発表した128bitグラフィックアクセラレータの第2世代モデルである、Imagine 128 Series IIを搭載したカードである。

 このシリーズは当時#9のライバルと目されていた、カナダのMatroxがMilleniumを発表した事に対抗する目的で急遽開発された物らしく、初代Imagine 128の性能を維持しつつコストダウンを図る事に重点を置いてデザインされた事が伺える仕様・設計となっている。

 シリーズラインナップにはPC/AT互換機用としてVRAM 4MB版とVRAM 8MB版が存在し、他にMacintosh版が用意されていた。

 ちなみに#9恒例のBeatlesのナンバーに由来するVGA-BIOS起動メッセージは今回は“Here comes the sun...”(アルバム"Flaming Schoolgirls"収録の同名曲より)で、基板の透かし文字は“EIGHT DAYS A WEEK”(アルバム“BEATLES FOR SALE”収録の同名曲より)」。

 Imagine128 Series IIは構造的には先代のImagine128のアーキテクチャを継承する、相当に大規模且つ複雑なデザインの汎用128ビットグラフィックチップであり、前作同様にWSやMacへの商品展開が前提にあった(前述の通り現実にMac版は出荷されたし、あのNeXTSTEP(PC/AT互換機用)のドライバも書かれていた)様だが、独自開発のオリジナルアーキテクチャによるチップ故か、前作Imagine128の段階で懸案事項となっていた、このチップを直接駆動するVGA-BIOSの開発は、このカードの開発段階でも完了していなかった。

 その為、これに代わる物としてやはり初代同様にチップ内にPCI to ISAバスブリッジ機能が実装されており、VGAモードはこのブリッジにISAバス接続されたCirrus Logic製CL-GD5424が担当する。

 但し、最終期生産グループに限ってはImagine128SeriesIIe同様に待望のImagine128SeriesIIチップ用VGA-BIOSが完成した為、CL-GD5424及びこれの周辺回路は省略されている(基板上にパターンは残されている)。

 このCL-GD5424はメーカーオプション(ボンディングの変更にて対応)でVL-BusやMicro Channel(!!)もサポートする、当時としては非常にローコストなフルカラー対応(但しDRAM 1MB搭載が限界なのでリフレッシュレートの最大値と最大解像度は比較的小さい)のRAMDAC内蔵グラフィックアクセラレータチップで、初代Imagine128に搭載されたCL-GD5422(VL-Busをサポートしない以外はほぼ同機能)の上位モデルに当たる。

 当然ながらVGAコントローラとして見た場合の性能は、コアが共通である事からGD5422と全く同等で、PCI-ISAバスブリッジが途中に介在する事から、これらのチップに依存するDOSモードでのVGA描画性能は機能的な互換性は別にすれば決して大したものにはなり得ず、実際にも非常に低性能であった。

 Imagine 128固有のグラフィック機能としては、MGA-Iに始まる同時期のMatrox社製グラフィックチップ同様に、Auto CAD等の3D CADソフトに特化した3D描画支援機能がサポートされており、32bit Zバッファ機能も一応用意されているらしいのだが、どうもそれは昨今のDirect 3D的な3D描画命令セットの概念とはおよそかけ離れた仕様(そもそもポリゴンへのテクスチャレンダリングなど全く考慮されていない)に基づくものであるらしく、この世代のチップに対応するWindows 9x/NT用ドライバではこの種の特殊機能は事実上オミットされている。

 より正しく言えば、これらのチップに搭載された3D描画支援機能は、例え有効にしてもDirect 3D環境では足を引っ張るだけの代物で、その機能を有効にする事によって犠牲となる2D描画関連のファンクション(Zバッファを確保すれば当然にVRAMが喰われるので、フォントキャッシュなどは行いにくくなる)のパフォーマンス低下を考えればいっそ無効にした方が妥当、という事である。

 ちなみにこのImagine128シリーズは第3作に当たるTicket to RideまではRAMDAC外付けであり、この製品の場合はIBMのRGB526、通称ブルーDACとして知られるシリーズの高級感ある青いフラットパッケージに収められたチップ(ドットクロック220MHz)が実装されていて、その映像信号の品位の高さは昨今の高速RAMDAC内蔵グラフィックチップのそれと比較しても殆どの場合劣るどころか寧ろ勝ってさえいる(筆者が最初に入手したカードは初期ロット品で少々経年劣化していた為画質面で難があったが、最近入手した最後期ロット品は恐るべき画質であった)。

 なお、上に掲げた通りこのカードには2つのグラフィックチップの為のRAMの他にマスクバッファ用DRAMが512KB、ソケット形式で追加搭載可能とされている。

 このマスクバッファは画面のクリッピング処理の為の物であるが、これを積んだ状態で果たしてどれ程の効能が得られるのかは定かではなく、そのせいか最終グループではソケットが廃止されて搭載不可となっている。

 いずれにせよ、今時の高速なAGP接続のグラフィックカードと比較すれば随分見劣りする仕様であるのだが、それでもGDI描画性能は同期のライバル製品であったMillenium同様の、いやそれ以上で、その画像品位の残酷な程(中級の17インチダイヤモンドトロンCRTなど歯牙にもかけない)の良好さや、Windows2000/XPでセカンダリグラフィックカードとして使用可能である事を考えると、ビジネス用やセカンドディスプレイ用としてならばこれから先も当分は“使える”カードであると言える。


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