Imagine128 Series IIe DRAM 4MB / Number Nine Visual Technology
Graphic Acceralation Chip:Imagine128 Series II / Number Nine Visual Technology
RAM:50ns EDO DRAM 4MB
Bus:PCI Rev.2.0 (32bit 33MHz 5V)
動作確認マシン:PC/AT互換機(Super PIIIDME)
Number Nine Visual Technology(以下#9と略記)が1996年に発表した128bitグラフィックアクセラレータ搭載カードの第2世代モデルである、Imagine128 Series IIの廉価版である。
コストダウンは、主として特殊でしかも高価なEDO VRAMを50nsのEDO DRAM(SIEMENS製。仕様からの推測だが、当時50ns動作のFast Pageメモリは量産段階に無かった筈であるから、恐らくこれで正解だろう)へ変更したことと、漸く実装に成功したImagine 128 Series IIチップネイティブ対応のVGA-BIOS(#9 I2 INTVGA BIOS)の採用によるVGA専用コントローラ&DRAMの省略で実現されているが、メモリがシングルポートのEDO DRAMとなった事で高解像度でのフルカラー/ハイカラー、あるいはハイリフレッシュレート表示が不可能になったにもかかわらず、このモデルでもIBM製RGB526CF22外付けRAMDAC(ドットクロック220MHz)が忘れずに採用されており、ローコスト=低画質ではない所に#9社の設計陣の画質に対するこだわりの強さが伺える。
基板自体は、フォトレジスト液の色が初代Imagine128の基板と同じ為もあってかこれに良く似た雰囲気で、マスクバッファ用DRAM(512KB)の空きパターンがある以外は隙のない、かっちりしたデザインとなっている。
片面に8枚配されたEDO DRAMチップの周囲のパターンから察するに、DRAM 2MB版も計画されていたかリリースされていた(半数に当たるチップ4枚についてソケット用のパターンが描かれている)様だが、今となってはその辺については定かではない。
また、実装されているImagine128 Series IIチップはステッピングを含めて上位のSeries IIと同一品で、このチップが当初からVRAMとDRAMの双方に対応していた事と、VGA-BIOS対応に伴うチップの仕様変更が無かった事が伺えよう。
尚、対応機種は上位機のSeries IIと共に、IA-32系CPU搭載PC及びDEC Alpha搭載WSとなっているが、添付の日本語マニュアル(当時、#9は日本支社を開設していた)にはAlphaマシン対応の記述はスペック表の一文以外一切無く、これについても詳細は不明である。
シングルポートRAM搭載という事で、当然描画性能的には正規のSeries IIに劣るが、Imagine128 Series IIチップで直接VGA対応できる様になったお陰で、DOSで使えるVESAグラフィックモードの数が飛躍的に増大している(理論上高解像度方向には1600*1200まで可能)から、当時のOS/アプリケーション事情を考えれば、これ1枚でDOSからWindowsまで正しくサポート可能なこのカードは、利用解像度が800*600程度までであれば、それはそれで充分利用価値はあった訳である。
但し、Windows 2000のセカンダリグラフィックカードとしてという事であれば、このカードにはメモリ性能の不足から1024*768以上の高解像度ハイリフレッシュレート多色表示が不可能であり、描画性能についても高解像度ハイリフレッシュレート(1152*864 16bitカラー CRTリフレッシュレート85Hz)で極端な速度低下(但し、様々なセッティングでテストした結果、これはかなり限定された状況でのみ発生する現象である事が確認された)が見られ、そして何より高解像度時の画質、特にフォーカス特性が目に見えて低下する、といった具合に実用上無視し難い問題点を幾つも抱えている。
どうこう言っても所詮は廉価版、という事であろうか。
ちなみに#9恒例のBeatlesのナンバーに由来するVGA-BIOS起動メッセージは今回も“Here comes the sun...”(アルバム"Flaming Schoolgirls"収録の同名曲より)だが、カード上の落書き(笑)は、“Yeah,Yeah,Yeah”と“We Love You”(前者は1963年の大ヒットシングル“She Loves You”の歌詞より。後者はそのもじり)、それに謎のバイキングらしきキャラクターの絵で、Series IIとは異なっている。
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