GeForce 8800 GT 512MB DDR3 XXX (PV-T88P-YDD4) / XFX
GeForce 8800 GT 512MB DDR3 Alpha Dog Edition (PV-T88P-YDDP) / XFX
Graphic Acceralation Chip:GeForce 8800GT(G92:コアクロック 670MHz) / nVIDIA
RAM:GDDR3-SDRAM 512MB(1950MHz相当 256bit)
Port:PCI-Express 2.0 (x16)
動作確認マシン:PC/AT互換機(S2895A2NRF Thunder K8WE)
2007年秋にデビューした、GeForce 8800シリーズの下位モデルとなるGeForce 8800GTを搭載する機種の一つ。
2008年初頭に-YDD4型番のモデルを入手し、その後2009年夏にーYDDP型番のモデルを入手した。
グラフィックコントローラとして、ピクセルシェーダーとバーテックスシェーダーを統合し動的に割り当て可能とした、いわゆるユニファイドシェーダーをnVIDIAの製品としては最初に導入したG80(注1)の下位機種として開発されたG92を搭載する一連の製品群の一つである。
このG92、メモリバス幅をG80の384・320bitから256bitに削減(注2)していて、シェーダー数もG80の最大128基(GTSは96基)から112基(注3)となっており、確かに仕様上はG80の下位に位置づけられるのだが、その一方でコアクロックとシェーダークロックは引き上げられており(注4)、しかもPCI Express 2.0への対応も図られているため、実製品レベルではGTXに迫り、ほとんどのケースでG80搭載のGeForce 8800GTSを圧倒する性能を発揮した上、製造プロセスのシュリンク(注5)で発熱が低下して1スロットクーラーでも運用可能となり、さらに動画再生支援機能はこちらの方がより高機能となっていた。
これだけ至れり尽くせりであれば売れるのは火を見るより明らかな話で、かくしてこのチップを搭載した各社の製品は、2007年冬のPC用ミドル〜ハイエンドグラフィックカード市場をほとんど制圧する勢いの大ヒットを記録した。
筆者にとっては、高機能であることもさることながら、1スロットで済むという点を重視しての購入であったが、当時職場で使用していたG80コアのGeForce8800GTSと比較して確かに発熱が小さく(注6)、描画も高速となったことに感心した覚えがある。
いわば走攻守のバランスが高レベルで取れたこの機種は、以後のnVIDIA製グラフィックチップの基本となるものであり、事実最近流行のCUDAによるGPGPU構想への対応や、nVIDIAが買収したAGEIAの物理演算エンジン「PhysX」への対応などにおいても、この機種以降がメインターゲット(注7)とされている。
ただ、1スロット構成は無理があったのか、高負荷時に充分な外気導入や換気等によるケース内からの排熱を行わないと、熱暴走するケースが少なからず発生していたようで、同じG92系でもGeForce 8800GTS(512MB)や9600GTなどといった後発製品では2スロットタイプの背面吸気形クーラーを標準搭載とするようになっている。
なお、-YDD4モデルと-YDDPモデルの相違だが、ハードウェア的には前者がリファレンスカードそのもの、後者がそれにカードのしなりを防止する金属製補強フレームをカードの上部に追加したもの(注8)で、クーラーの仕様など基本的な部分には相違がないが、後者の方が取り扱い上自重でカードが変形する心配が少ない分、有利である。
(注1):GeForce 8800GTX・GTSの2機種に搭載。2006年冬発表。
(注2):これに対しメモリクロックは定格で900MHzとなっており、上位のGTXと同じとされている(但しバス幅が異なるため、実効性能は下回る)。
(注3):ちなみに後日追加されたG92版GTSでは128基となっており、ボンディングオプションかBIOSレベルで有効シェーダー数が決定されていると考えられる。
(注4):定格で575・675MHz(GTX)から600・750MHzへ。なお、本製品はオーバークロックモデルなのでコアクロックが670MHzに引き上げられている。
(注5):90nmから65nmへ。ちなみに集積トランジスタ数は7億5400万でG80の6億8100万よりも多い。
(注6):とはいえ決して低発熱という訳ではない。
(注7):一応G80も含まれているようだが。
(注8):当然ながらこの補強用フレーム、SLI用ブリッジアダプタの部分は大きく切り欠いてこれを避ける構造としている。ちなみにこの切り欠き、実際にSLIアダプタを装着してみると必要以上に大きな開口部が確保されており、基板側のその空きスペースに相当する部分を観察すると、「J6」と表記された2ピンジャンパコネクタ用空きパターンが用意されている。これは察するに、DVI-I端子にHDMI変換アダプタを取り付ける際に、映像信号と合わせてサウンドカードからのSPDIFデジタル音声出力信号を出力させるためのSPDIF入力コネクタを実装するためのスペースと考えられる。
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