WinFast PX7800 GTX TDH MyVIVO / Leadtek
Graphic Acceralation Chip:GeForce 7800GTX(G70(NV47):コアクロック430MHz) / nVIDIA
RAM:GDDR3-SDRAM 256MB(1200MHz相当 256bit)
Port:PCI-Express 1.1 (x16)
動作確認マシン:PC/AT互換機(S2895A2NRF Thunder K8WE)
2005年7月にデビューしたGeForce 6800シリーズの後継となるGeForce 7800シリーズを搭載する初のカードの一つ。
NV47という開発開始時のコード名が示唆する通り、GeForce 6800 Ultra(NV40)と比べて基本的なアーキテクチャレベルでのデザイン変更はなく、Vertex Shaderユニットの6→8基化、Pixel Shaderユニットの16→24基化、そしてこれらによるピクセルパイプラインの16→24本化(注1)と動作クロック周波数の向上(注2)、それにPVP(Programable Video Processor)ユニットの3基搭載(注3)といった量的な強化(注4)で順当に性能が向上しており、前作程の衝撃はないが、それでも総トランジスタ数が約3億2百万とおよそ8千万もトランジスタ数が増加している。
もっとも、心配される発熱については製造プロセスがGeForce 6600シリーズから本格採用されたIBMのFabによる0.11μm相当のプロセスとなった為にGeForce 6800 Ultraと比べても低発熱を実現(注5)していて、クーラーも効率的な冷却を実現する為に熱の拡散を目的に逆U字型にヒートパイプを配して巨大なヒートシンク全体で効率良く放熱出来る様にした上で1スロットに収まる設計となっている。
このカード自体はチップ発表にあわせて各社から登場したリファレンスデザインの製品群の一つで、クーラーに貼付されたシール以外はどこの製品もほぼ同じ(注6)、という状況で差別化を図る為にオーバークロックツールであるWinFox2をはじめゲームなど付属ソフトが盛り沢山となっている。
もっとも、GeForce 6800シリーズと異なりリファレンスデザインそのものの完成度が非常に高く、1本しかスロットを占有しない事も含めて、通常の使用の範囲ではまずハード面についての不満は出ないだろう。
このチップで注目されるのは、PlayStation 3に搭載されるRSXと呼ばれるグラフィックチップと基本設計が共通(注7)であるという点で、両者を比較するとグラフィックカード搭載とゲーム機搭載での設計コンセプトの相違が見えて興味深い。
ちなみに入出力はDVI-Iが2系統とビデオが1系統で、ビデオはコンポーネント/コンポジット/S出力とコンポジット/S入力をサポートしている。
もっとも、基板を見ると例によってDVI-I端子部分にはアナログRGB出力の為のパターンも用意されており、DVI-I*1+RGB*1やRGB*2といった構成のカードも作れる様になっているが、DVI-D対応液晶ディスプレイ全盛の昨今、わざわざアナログRGB専用コネクタとする理由はほぼ存在しないだろう。
さて、肝心のこのカードの描画性能についてだが、最近GeForce FX5800、GeForce 6800と順を追って見てきた筆者の目には、圧倒的なパフォーマンスと映った。
何をやらせてもとにかく速いというのが素直な感想で、それでいて発熱はそれほど大きくない事もあって可用性は非常に高い。
無論、基板サイズがフルサイズでこそないもののかなり長いので、入るケースに制限があるという問題があるが、そもそもこれが入らない様なケースに入れようとする事自体が間違い(注9)なので、それは問題ではあるまい。
コスト的には2005年夏の段階で6万前後とnVIDIAの最上位機種にしては比較的低価格で、しかも潤沢に供給されており、下手にGeForce 6シリーズでSLI構成とするよりこのカードを1枚挿した方が実用性が高い様に思われる。
(注1):単純に考えると、これらの強化によって、理屈上これ1枚でGeForce 6800のSLI動作に匹敵する性能が出せる計算になる。
(注2):コア:400→430MHz、メモリ:1.1GHz→1.2GHz。なお、メモリはこのカードでは256MB実装だがヒートスプレッダや基板を見ると512MB実装可能な様に設計されているのが判る。
(注3):これによりVIVO、つまりビデオ入出力と入力時のMPEG2ハードウェアエンコード機能の強化が実現している。
(注4):更にShader Unitそのものにも改良の手が入っており、前作では片方しか積和演算できなかった2つのShader Unitそれぞれで積和演算がこなせる様になっている。
(注5):ちなみに発熱を極力抑えるべく2D描画しか行われない状況ではコアクロックが275MHzまで引き落とされる設計となっている。
(注6):しかもそのシールは動作時の発熱ですぐに剥がれ落ちる。ちなみに上記写真では既に剥がれた後であるので、リファレンスとほぼ同じ状態である。
(注7):相違はバスインターフェイス位しかない。
(注8):既にOpteron 242 DualではCPU側の演算性能がG70の処理能力に追いついていない。
(注9):十分な冷却能力が期待出来ない。
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