GeForce 8600 GT 256(ZT-86TEQ2P-FSL) / ZOTAC
Graphic Acceralation Chip:GeForce 8600GT(G86:コアクロック 540MHz) / nVIDIA
RAM:GDDR3-SDRAM 256MB(1400MHz相当 128bit)
Port:PCI-Express 2.0 (x16)
動作確認マシン:PC/AT互換機(S2895A2NRF Thunder K8WE)
2007年4月にデビューした、GeForce 8シリーズのミドルレンジモデルとなるGeForce 8600GTを搭載する機種の一つ。
端的に言ってしまえば、GeForce 8800GTS/GTXに搭載されたG80の廉価版で、G80と同様にバーテックスシェーダーとピクセルシェーダーを統合し動的に割り当て可能とした、ユニファイド(統合型)シェーダーを搭載する。
ただし、製造プロセスの90nmから80nmへのシュリンクと、ユニファイドシェーダーユニットの大幅削減(注1)、それにメモリインターフェイスのバス幅縮小(注2)などによって集積トランジスタ数も大幅に削減されて(注3)チップ面積が劇的に縮小、コストダウンを実現している。
通常の場合、これだけ削ってしまうと性能的にお話にならないのだが、基本になったG80が前世代のG70系ハイエンドモデルと比較して約2倍という凄まじい性能向上を実現してしたため、性能を約1/4に低下させてもG70系ミドルレンジの代表であるGeForce 7600GTとおおむね同等かそれ以上の性能を発揮可能(注4)となっている。
この時期までの一般的なミドルレンジ製品では、アナログRGB出力とDVI-I出力を各1系統実装するのが一般的であったが、このカードでは2系統のDVI-I出力を搭載しており、著作権保護機能であるHDCPに対応、更にカード基板上にSPDIF入力コネクタを実装し、サウンドカードのSPDIF出力をここに接続することでDVI端子から変換してHDMI端子に対応する機器で映像とサウンドを同時入力可能としている。
このことからも明らかなように、このカードはHDビデオを再生可能な環境を廉価にPC上で構築可能とすることを主眼に置いて設計されており、G86チップ自体もこうした用途を重視して、H.264のデコードに対応した動画再生支援機構である第2世代のPureVideo HDを搭載する。
これは総じてごく普通のミドルレンジカード、というのが筆者の感想で、搭載された冷却ファンの耐久性にはやや不安があるが、通常使用の範囲では、十分な性能を発揮している。
なお、このカードにもSLIコネクタが用意されていて2枚同じカードを用意すればSLI動作が可能であるが、2枚あわせてもシェーダー数は64にしかならずG92搭載カード単体にも及ばない(注5)ため、そのような使い方をしてもあまり幸せにはなれないだろう。
(注1):G80では最大128基であったが、これを僅か32基にまで削減した。
(注2):こちらもG80の384/320bitから128bitへ大幅縮小されている。もっとも、これはチップ面積の縮小で配線実装の都合上、縮小せざるを得ないという事情も存在する。
(注3):G80の6億8100万から2億8900万へと半減以下に削減されている。
(注4):上位のG80や続くG92があまりに突出した性能であったことと、低負荷時に前世代のG73(GeForce 7600GT)に負ける場合があったことなどから過小評価されがちだが、外部給電コネクタ不要で、しかも高負荷になればなるほど性能面でG73を引き離し、更に高機能な動画再生支援機能を備えるこのG86はもう少し高く評価されても良いように思う。
(注5):G92ではGeForce 8800GTで112基、8800GTS・9800GTX・9800GTX+で128基のシェーダーを搭載する。つまり、G86搭載カードを3枚集めてもシェーダー数で下回るということになる。
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