RH4850-E512HW/HD / 玄人志向
X4850-EN-512M / JETWAY
RADEON HD4850 512MB GDDR3 PCI-E DUAL DVI-I/TVO / SAPPHIRE
Graphic Acceralation Chip:RADEON HD4850(RV770:コアクロック625MHz) / Advanced Micro Devices
RAM:GDDR3 SDRAM 512MB(1986MHz相当 256bit)
Port:PCI-Express 2.0 (x16)
動作確認マシン:PC/AT互換機(S2895A2NRF Thunder K8WE,S2915A2NRF Thunder n6650W)
2008年6月下旬に発売が開始された、AMD(旧ATI Technologies)のRADEON HD4850(RV770)搭載カード3種。
いずれも1スロット仕様クーラー搭載で基本的な構成には相違はないが、搭載チップのリビジョンが異なる。
RADEON HD4850はその搭載カードが発売当初価格2.5万円前後とミドルの少し上、というレンジでありながら当時3万円台で販売されていたライバルnVIDIAのGeForce 9800GTX搭載カードに匹敵するかこれを凌駕する性能を発揮し、2008年夏のヒット作となった。
RV770はATI初のPC向けユニファイドシェーダー搭載グラフィックチップであるR600(注1)の直系の継嗣と言うべきチップで、シェーダー部分を大幅に強化して単精度積和演算ユニット数を従来のRADEON 3800シリーズ(RV670)で320であったものを一気に800まで増やし(注2)、さらに内部バスとキャッシュメモリの構成や接続を全面的に見直して、R600で採用されたリングバスを止めて消費電力重視でクロスバースイッチに代え、各SIMDコア間で共有していたL1・L2キャッシュメモリを、L1は10基のSIMDコアに、L2は4基のメモリコントローラ(注3)に独立して接続するように改めた上で、L1・L2間を専用のクロスバースイッチ接続としてキャッシュのコヒーレンシを保つ設計としている。
こう書くと何が何やら良く判らない感じだが、各コアやプロセッサに含まれる各要素の数を別にすれば、このアーキテクチャはライバルであるnVIDIAのG80・92・GT200系と酷似しており、一旦はRADEON HD2900とGeForce 8800GTXで別々の道を歩みかけた両社のユニファイドシェーダー搭載グラフィックチップだが、GPGPU用途で求められる機能や性能の問題もあり、結局相似のアーキテクチャへと収斂しつつあることになる。
正直なところ、RADEON HD2900系もHD3800系も共に魅力的とは言い難かった(注4)が、110Wと半年以上前のGeForce 8800GT(およびそのリネーム品であるGeForce 9800GT)とほぼ同レベルの消費電力で、上位のGeForce 9800GTXに匹敵する性能を発揮するこの製品は、筆者にとっては重要なクーラーが1スロット構成であることを含めて非常に魅力的で、かくしてメインマシン用としてはRADEON 9800PRO以来本当に久々のRADEON系カード採用と相なった。
このカードはリファレンスのクーラーを搭載しており、動作時のファンが静かなのは良いがコア温度を確認すると80℃を超過しており、意図的にBIOSレベルで静音性重視の設定となっているようだ。
このためピーク動作時の熱暴走を防ぐにはユーティリティ等を使用してファンの定格回転数や閾値となる温度の設定を自分で変える必要があったのだが、これは2008年10月にリリースされたCatalyst 8.10でドライバ上から任意の値に設定可能となって一応解決が図られている。
ちなみにこのカード、HDMI変換コネクタが同梱されており、ドライバ(注5)をインストールすればHDMI出力専用のサウンド機能を使用することも可能であるが、残念ながら筆者の手元にはHDMI入力に対応するモニタやテレビ等は無いため、この機能は確認できない(注6)。
なお、書き忘れていたがRADEON HDシリーズはHD3xxxシリーズの上位モデル以降Direct X 10.1対応である。当初はそれほど重要な差でもなかったのだが、実は今では結構重要な差につながっているので、一応注意されたい(注7)。
(注1):RADEON HD2900などに搭載。
(注2):各演算ユニットは5基ずつ160基のVLIWプロセッサの中に組み込まれている。ちなみにこのVLIWプロセッサは16基ずつ束ねてデータシェア用メモリ(16KB)とセットとしたSIMDコア(共有メモリの有無を別にすると、16基のVLIWプロセッサを1単位とする構成はR600から変更はない)を10群並べて使用される。
(注3):それぞれバス幅32bitのコントローラを2基傘下に置く。
(注4):これは同時期のnVIDIA製競合チップ搭載製品が極めて魅力的であった、ということでもある。
(注5):REALTEKのサイトでREALTEK HD Audio CODECsとして提供されている。
(注6):見る限り、無理に使うほどのものではないと思うが。
(注7):Windows 7はその描画がDirectX 10.1を基本とするようになったため、実はDirectX 9/10対応のチップでは一部処理がソフトウェアエミュレーションによって行われる。それ故、微妙にだが直接のライバルであったG92系チップ(DirectX 10対応)搭載GeForceとの性能差が大きくなっていたりする。
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