PC-9801-116 106キーボード / NEC


 NECが1994年に発表した、PC-9800シリーズ対応のOADG 106キー配列キーボード。

 これは要するに、Windows上で98とPC/AT互換機を併用しているユーザーがキー配列を一本化したい場合の為の製品であって、ドライバの提供されないDOSではキートップの表記と入力内容とがバラバラな部分があったり、そもそもテンキー側の“,”キーや“=”キー、それにVF3〜VF5キーが存在しないなど、恐ろしく使い辛い代物と化してしまう。

 製品としてはキーボード本体に加えて98用キーボードとしては異例な事にWindows 3.1 / NT3.1等に対応したドライバFD 3枚が添付されているが、これは前述の理由によるもので、当製品出荷以前に発売されたWindows系OSに対応する為のものである。

 当然ながら、本製品発表以後のPC-98対応版Windowsには専用ドライバが用意されており、PnP対応のWindows 9xやWindows 2000では接続しさえすれば自動的にドライバがインストールされる様になっている。

 ハードウェア的には、明らかに何処かのメーカーからのOEM供給品(実際、同一金型を用い、コントローラ基板だけ換えたPC/AT互換機用キーボードが三菱電機などに供給されていた由である)と思われる、NEC製らしからぬ造りでラバードーム+シートスイッチを備える、いわゆるメンブレンゴムスイッチキーボードで、タッチ自体はこの種の物としてはまずまずの仕上がりであるが、同時期登場でしかも定価が同じであるPC-9801-114と比較するとどうしても格落ちの印象は免れ得ない。

 只、本来このキーボードのターゲットとして想定されたであろう、PC/AT互換機を併用するユーザーの立場に立てば、ALPSやNECオリジナルの高品質なメカニカルスイッチのタッチよりもむしろ、一般的なAT互換機用106キーボードと殆ど変わらないこの製品のタッチの方が違和感が無くて正解かも知れない。

 ちなみに、配列が同一なので誤解されても致し方ないのだが、これはあくまで98の一般的なキー配列をドライバでテーブル変換してWindowsに渡す事で106キー配列を実現している代物なので、直接キースキャンコードを拾い出すタイプのアプリケーション(具体的にはゲーム)の場合は、スキャンコードの相違から思った様な結果が得られない場合もある様だ。

 何れにせよ、98でどうしても106配列キーボードを使いたい、というのでもない限りは手を出す必要のないキーボードである。


フレーム再表示 インデックス

一応、当ページの内容の無断転載等を禁止します