ULTRA2 SCSI CARD 2940U2W (AHA-2940U2W) / Adaptec

動作確認マシン／マザーボード：S2460 Tiger MP

　AHA-2940UWの後継機種に当たるPCI対応のUltra 2 Wide SCSIカードである。

　Ultra 2 Wide SCSIはこれまでのSCSI各規格と異なり、電気的な規格が変更され、単純な5VのSE（Single-Ended）駆動から、複雑だが信号が減衰しにくい3.3VのLVD（Low Voltage Differencial）になって、SE駆動の機器とはそのままでは共存不可となったのだが、下位互換性を維持する為に既存のSE駆動の機器をUltra 2 Wide SCSIに繋ぐと自動的にSE駆動のUltra Wide SCSIにモードが切り替わるという機構が導入されている。

　だが、これは当然ながらUltra 2 Wide SCSIの機構的特徴を殺す使い方であって、およそ褒められた手段ではない。

　そこで開発されたのが、このAHA-2940U2Wに搭載されたSpeed Flex技術で、これはUltra 2 Wide SCSIバス上に接続されるAIC-3860というチップをホストとしてUltra Wide SCSIバスを用意する、つまりSEのSCSIをセカンダリ接続するブリッジ技術である。

　これによって、Ultra 2 Wide SCSIの速度を落とさずにUltra Wide SCSI以下の規格のSCSI機器が接続できるばかりでなく、それぞれの規格で許される最大長までケーブルを長くできる（Ultra Wide SCSIは1.5m（機器8台）／3m（機器4台）、Ultra 2 Wide SCSIなら12mまで）というメリットも生じたから、これは非常に優れた発明であると言えよう。

　まぁ、そんな面倒な事する位ならSCSIカードを２枚挿すなり、2chのUltra 2 Wide SCSIカードを１枚挿すなりすれば良いじゃん、という意見もあるが、PCIスロット数に制限のあるマシンや、カードのコストを考えると、この様な選択肢は無いよりはあった方がずっと望ましいのは確かである。

　なお、このカードの挙動は非常に素直且つ高速で、好感が持てるものであった事を申し添えておく。