WIDE ULTRA SCSI CARD 2940UW (AHA-2940UW) / Adaptec
インターフェイス:Ultra Wide SCSI (68pin SE 40MB/s) / Ultra SCSI (50pin SE 20MB/s)
転送モード:Bus Master
Bus:PCI Rev.2.1 (32bit 33MHz 5V)
SCSIコントローラ:AIC-7880 / Adaptec
対応機種:PC/AT互換機・PC-9821シリーズ
動作確認マシン/マザーボード:PC-9821Xv13/W16,Power Macintosh 8500/132,SY-6BA+,GA-6BXE,MS-6163,EP-61BXC-A,S1837UANG Thunderbolt,SUPER PIIIDME,S2460 Tiger MP / TYAN,FW-6400GXR/150/WS,PC-9821RvII26/N20
AHA-2940Wの後継にしてAHA-2940Uの姉妹機種に当たる、Ultra Wide SCSIカード。
高速・安定動作・幅広いOSの対応、と3拍子揃った製品だが、現役当時はバルクでも他社製品の2倍になる(!)その実売価格だけがネックであった。
このカードは新品・中古を合わせて5枚以上買ったが、その多くはバルク版であった為、アメリカ本国版の同時点での最新BIOS(Ver.1.34.3)が書き込まれていて当然PC-9821(当時はPC-9821Xv13/W16を使用していた)では起動しなかった。
だが、裏道というのはどこにでもあるもので、Adaptecのアメリカのサイトにある最新版へのBIOS更新プログラム中のツール本体をDOS上で/?起動してみると、しっかりBIOS内容の吸い出しモードが存在していた(笑)。
そこで当時PC-9821に挿していたAHA-2940UをAT互換機に持ってきて起動し、このツールでPC/AT互換機/PC-9821両用BIOSを吸い出してみたら当然の事ながらファイル化に成功した。
最後にこれを同ツールでAHA-2940UWに書き込んだ後、98に挿し直して再起動してみた訳だが結果は大成功(喜)。物の見事にPC-9821対応版になった。
もっともこれには問題点もあって、吸い出して書き込んだ両用BIOSは、AHA-2940Uの購入時期の関係かそもそもバージョンが古い(Ver.1.23)ので、PC/AT互換機上でこれを使うとCD-ROMからのブートに失敗したりした。
ちなみにAT/98両用BIOSは確認されている限りバージョンが2つあって、上述のVer.1.23Jの他に最後期のAHA-2940UWJAというシールの貼付されたモデルに書き込まれていたVer.1.34.3Jが存在したが、こちらは当然AT互換機でのCDブートにも対応しており、AT互換機とPC-9821で(主としてOSインストール等の都合で)比較的頻繁にこのカードを入れ換える必要がある場合には重宝するだろう 。
それはさておき、PC-9821でこれをまともに使うには単なるBIOSの書き換えだけでは駄目で、設定変更用の専用起動FDも必要(これが無いとMO等の低速デバイスをつないだ時に必要になる速度変更や、Wide転送のON/OFF設定が出来ない。なお、このユーティリティの利用に当たっては一旦AT互換機で両用BIOSに書き換えて再起動し、そのBIOS内蔵設定変更ユーティリティで設定変更して設定保存領域の初期化を行う必要がある)である事は一応申し添えておこう。
また、裏道の更に裏道の様な話になるが、実はこのカード(及び姉妹機種であるAHA-2940U)は、実装されている64KBのROMチップを外し、 基板上の32pin DIPパッケージタイプのROM用パターンに一時期のPC/AT互換機用マザーボードでおなじみだったWinbondのW29EE011-15(容量128KB。例えばP/I-XP55T2P4等に搭載されていた)を挿せば、Macintosh用にAdaptecが販売していたPower Domain 2940UW用のOpen Firmware(同社サイトでアップデータとして配布)がMac上で正しく書き込め、動作してしまう。
この時の動作は、INIC-950搭載カード群にMac対応Open Firmwareを書き込んで使った場合と比べても明らかに安定度や起動確率(INIC-950搭載カードをMacで使用する場合、筆者のマシン環境(Power Macintosh 8500/132)では時折起動ドライブを見失うという現象が発生した)で勝り、流石はAdaptecと思わさせられた。
この辺は完全に無保証な上に、基板上のROMパターンのハンダ吸い取りや、ICソケットのハンダ付けなど結構厄介な作業を強いられるので特にはお勧めしないが、当該ROMチップやこのカードを余らせていて、しかもMac用にPCI版のSCSIカードがどうしても必要な場合には、覚えておくと何かの役に立つ事があるかも知れない。
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