Sound BLASTER 16 for PC-9801 (CT2720) / Creative


接続バス:C Bus (16bit)

サウンドコントローラ:(Sound BLASTER 16)CT1746B-067 + CT1741 + CT1748A + CT1745A / Creative + YMF-262-M (OPL) / YAMAHA , (PC-9801-26K互換)YM2203C (OPN) + YM3014B / YAMAHA

対応機種:PC-9800シリーズ

動作確認マシン:PC-9801BX/U2PC-9821As/U2PC-9821As2/U8WPC-9821Xa9/C8


 1992年に、当時PC-9800シリーズ互換PCを製造販売していたセイコーエプソンとCreativeが共同開発した、Sound BLASTER 16互換Cバスサウンドボード。

 これは、NECの純正サウンドボードが廉価だがPCM音源を持たないPC-9801-26KとPCMを持つが非常識に高価なPC-9801-73しか無かったために標準PCM音源と呼べるボードが市場に存在しなかった時期に、マルチメディア対応の充実した機能を持つサウンドボードを用意する必要に迫られたエプソン側の要望で開発されたもので、それ故当初はエプソン向け純正オプションとして販売がスタートし、その後Creativeが自社でバリエーションモデル(主にDSPチップの実装/未実装でモデル分けされた)の外販を開始するという経緯を辿った。

 機能的には、PC/AT互換機版Sound BLASTER 16と同等のサウンド機能とPC-9801-26Kと同じチップの搭載による互換FMシンセサウンド機能(オプション。基板上に用意されたソケットへのYM2203(OPN)チップなどの追加搭載で実現)を両立させた、PC-486GR・GFといった当時のエプソン製98互換機と同様にかなり野心的な設計のボードで、標準的なCバス用拡張ボードの基板上にチップやコンデンサがひしめいており、裏面にもコンデンサや抵抗が表面実装されるなど、その機能面での要求を満たすためにかなり苦労を強いられたことをうかがわせる部品レイアウトとなっている。

 流石に、PC本体内部へのIDE/MKE CD-ROMインターフェイスは用意されなかったが、代わりに背面ブラケット部のD-SUB 15ピンMIDI/ジョイスティックインターフェイス(MIDIインターフェイスはMPU-401のUARTモード互換)脇にD-SUB 26ピンMKE CD-ROMインターフェイスが実装されており、この関係で外部Line Inと並んで外部CD Inが用意されている。

 最初にエプソンブランドで発売された際には、この外部インターフェイスに繋がる専用外付けCD-ROMドライブ及びスピーカー等とセットでマルチメディア拡張キットとして販売されていたから、この2つの端子は設計段階から搭載が要求されていた訳である。

 さて、肝心の音質だが、複雑な設計が祟ったのかそれともそもそも元になったSB16自体の音質が悪かったのか(ISA版の音質から判断する限り、後者の可能性が高い)、ヒスノイズ自体は後発のPC-9801-86あたりと比べても大差ないが全体的に薄い感じの音で、全くよろしくない。

 ただ、86音源がDOSに特化するあまりWindows上での挙動に問題をはらんでいたのとは対照的に、Windows 3.1/95上での動作はかなり軽く、内蔵FM音源によるMIDIシンセの出来も86音源のそれよりは余程真っ当だった(それはそれなりにOPLチップを使いこなしていた。但し、DOSレベルで考えた場合には86音源の方がずっと高性能である)。

 なお、このボードは本家のSound BLASTER 16と同様、ドーターボード形式のMIDIシンセであるWave BLASTERも搭載可能であるのでその点では価値があり、ジョイスティックポートが付いていたこともあってこのシリーズは一部のゲーマーには愛好された。

 ただし、EPSONが98シリーズ互換機から撤退し、その関係からかWindows 98では非対応となった(それどころか、Windows 98ではSound BLASTER 16及び32は深刻なトラブルの原因となる恐れすらある)ことと、そもそもWindowsでも(EPSONがサポートしなかった)NT系は当初より非対応とされていたことを勘案するとこのカードの利用価値は低く、音質やゲームの対応状況等も含めて考えると、これからわざわざ購入して利用する程の物ではないだろう。


フレーム再表示 インデックス

一応、当ページの内容の無断転載等を禁止します