Sound BLASTER PCI 128 / Creative


接続バス:PCI Bus (32bit 33MHz 5V)

サウンドコントローラ:CT5507 / Creative + AK4531-VQ / AKM

対応機種:PC/AT互換機

動作確認マシン/マザーボード:PC-9821Xv13/W16GA-6BXE


 ES1370搭載のEnsoniq AUDIO PCIに始まるES137x系チップ搭載サウンドカードの上位モデルとして1998年に発表された製品。

 AUDIO PCI→Sound BLASTER PCI64がその名前の示す通り、内蔵ハードウェアシンセで同時再生可能な音数が64に限られたのに対し、こちらでは128音同時出力可能に機能が拡張され、AUDIO PCIではラインレベル専用となっていたアナログ出力のアンプ回路付加(これに伴って大きな黒いアルマイト加工品のヒートシンクがパワートランジスタ上に取り付けられている)によるスピーカー出力対応がサポートされるなど、スペック上はAUDIO PCI(Sound BLASTER PCI64)の強化モデルと呼ばれるに相応しい仕様であった。

 ハードウェアとしては、Creativeのロゴの入ったCT5507チップにES1370と同じAKM AK4531-VQ Codecチップを組み合わせ、基板もEnsoniq純正品のAUDIO PCIと良く似たGNDパターンがメッシュになったタイプ(しかもMaid in USA)であるなど、AUDIO PCIと共通性の高い設計であるが、実を言えば問題のCT5507チップはES1370にCreativeのベンダIDを与えて型番だけ変えた代物で、つまりこのカードはハードウェア的にはAUDIO PCIのスピーカーアウト対応版でしかないのである。

 では、前述の内蔵シンセの拡張はどの様に行っているかというと、これは本来の64音ハードウェアシンセに加えて、64音のソフトウェアシンセを併用する事で実現している。

 このように書くと何やら怪しげに見えるが、要は本来ES1370/CT5507に搭載された専用ハードウェアが行う作業をPC側のCPUが分担してエミュレーションするという事で、その発想自体は決して間違っていない。

 問題があるとすれば、それはそのソフトシンセが動作するのが、公式ドライバの提供されている各種OS中でもWindows 9x用に限定された事で、例えばWindows NT4.0やWindows 2000上ではこのカードは実質的にSound BLASTER PCI64でしかないのである。

 そういう意味ではこれは非常に紛らわしい仕様の商品で、このカードではWindows 2000に対応するドライバを公式に提供しているのに、実質的に同じチップを搭載するEnsoniq版AUDIO PCIにはCreative/Ensoniqが内蔵シンセの利用が可能なWindows 2000対応ドライバを提供しない事も含めて、およそ感心しない話である。

 なお、このカードの音質は傑作の誉れ高いAUDIO PCIの眷属としては不十分なもので、どうもアンプ回路内蔵が悪影響を与えているものの様だ。


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