MZ-1X22
(モデム)

 MZ-2500発売でシャープMZシリーズが先鞭を付けて通信時代に突入…はいいのですけど、最初に発売されたモデムがMZ-1X19というモデムホン(電話機にモデム機能を内蔵したもの)で、しかも価格が98000円とバカ高だったこともあり、宣伝とは裏腹になかなか普及が進まない始末…。
 というわけで、それなりに妥当な価格(21800円)で提供されたのがこのモデム、MZ-1X22というわけです。

 パソコン通信時代の最初期仕様ということもあって、300bpsまでしか使えませんし、実際それほど特筆すべきところもなく…。

 こちらは前面。
 モードというのは着信応答するかどうかという意味。草の根ホスト局を運営するならこのスイッチを「着信」側にしておくということですね。
 通信ランプの下のスイッチはモデムと数珠つなぎにしてある電話機で通話するかどうか。直接電話回線に通信信号を流した時代ですからね。
 こちらは後面。
 数珠つなぎにするための電話機をつなぐコネクタと、電話回線をつなぐコネクタが並んでいます。つまりそれまで電話機を直接つないでいたところにこのモデムを割り込ませるということですな。

 実のところ、ほとんどホスト局がなくなってしまった現代、疑似電話交換機とかで当時を再現する以外にモデムの使い途などなく、新たにこれを入手するつもりはそもそもなかったのですが…パンフレットにはこのモデム専用との注意書きがあるシリアルボード・MZ-1E29を入手し、TTLレベル信号でモデムとどのように接続するのか確認してみたくなったのです。

 というわけで御開帳…
 …何の変哲もない、SN75188(送信)とSN75189(受信)によるレベルコンバータが使われた回路でした。
  • MZ-1E29側は受信にだけレベルコンバータがあるのでモデムからRS-232Cレベルで送信しても問題なし
  • MZ-1E29からTTLレベルで送信してもモデムはSN75189による受信レベルの許容範囲内なので問題なし
ということで、回路としてはモデムとしてごく普通。MZ-1E29がMZ-1X22専用となる理由は、モデム側にはありませんでした。

 おそらく後の時代のモデムはコストダウンなどのためにレベルコンバータ込みのワンチップ化が図られていると思われますので、上記の理屈が引き続き通用したかは怪しいですが…逆に省電力目的でTTLレベルでもやっぱり通信できるようになっていたかもしれず…。

 とは言え、オムロンやアイワなどモデムを売りまくるメーカーが出現すれば通信専業メーカーではないシャープががんばってもたかがしれてますので、他のメーカー同様にほどなく撤退。パソコン通信ホスト局側も電話料金のこともありますので早足で通信速度が向上し、このモデムもいつまで使われたことか…。

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