MZ-1E29
(MZ-1500/80B/2000/2200用シリアルインターフェイス)

 廉価版シリアルI/Fボードです。一応MZ-8BIO3MZ-1E24と同等に使用できますが、その奥歯に物が挟まったような言い方になるのは、これがRS-232Cボードではないという事実があるからなのです。

 1985年に実施された通信の自由化で、一気にパソコン通信がブームとなりました。各社製品も通信機能の強化が図られ、シャープもMZ-2500で通信機能を前面に押し出して宣伝しておりました。

 しかしそうおいそれと新機種への買い換えができるわけでもなく…メーカーとしてはそりゃあ買い換えてもらう方が儲けは大きいですが、この時は旧機種へのサポートを厚くする方が得策と判断されたようで、特にホビーユーザーの多いMZ-1500とMZ-2000/2200用(マニュアルにはMZ-80Bも書いてある)としてオプションが発売されるに至りました。
 できるだけたくさんのユーザーがパソコン通信を体験できるよう安く、安くという意識が強かったようで、そもそも廉価版のRS-232Cボードとして発売されたMZ-1E24(19800円)でも高いとされたのか、さらに安い(17800円)製品が企画された結果がこのMZ-1E29ということのようです。

 ではMZ-1E24(左)とMZ-1E29(右)を比較してみましょうか。写真にマウスカーソルを重ねると部品の分類が現れます。

 コストダウンのポイントを挙げるとこんなところでしょうか。

もう割り切りだらけというか、コストダウンのためならなんでもするという感じですね。

 伝統的に通信速度設定がボード上のスイッチしかないのにそれさえも省略して固定しちゃうだけでもどうかと思いますが、もっと深刻なのは信号レベルがRS-232Cと互換性がないことです。受信に限ってはレベルコンバータのMC1489が搭載されていますのでそのまま接続しても問題ありませんが、送信側の保証はありません。これでは商品名を「シリアルI/Fボード」とせざるを得ないはずです…。

 これだけの割り切りが可能になった理由と言いますか、このボードの本当の目的は純正モデムMZ-1X22を接続することにあります。モデムだってRS-232Cで接続されるんだからこんな簡略化が許されるはずがないんですが、特定の機器としか接続の保証をしないのであれば、この時限りの回路であっても(一応)問題にはならないのでしょう。

 なお、マニュアルには「MZ-1X22以外との接続を保証しない」などと書いてはいません。MZ-1X22のパンフレットに「MZ-1X22接続専用インターフェイス」との注意書きがありますので、お店もMZ-1E29を汎用シリアルボードとして売ったりはしなかったんじゃないかな…。

 モデムとの接続ケーブルが付属します。これ、純正品で買うと11000円(MZ-8BC03)しますから、セットで考えればMZ-1E24の4割引以上のお得ということになりますね。
 シンプルなデザインの箱…。これもコストダウン策なんでしょうか。

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