PC-Λ2
PC-Λ10

 ポケコンが学校教育に役立つ、ってことで「G」の名を持つシリーズをシャープは伝統的に展開してきたのですが、それは制御実習のためのプログラム作成のため。そうではなくて、ラジオのキットのように中身を手に取らせてそれがどんな働きをしているのか思いを馳せながら組み立てる、そういう教材もアリなのではないか。そう考える教材メーカーがありました。そのメーカーが作ったポケコンが、このPC-Λシリーズです。
 といってもまぁ、この製品が出たのは1987年以降のことですから、筐体設計や基板設計はともかく、この大きさの製品にまとめるためにはLSI化は必須ですし、さらにシステムのプログラムも必要。そんな大層なことを教材メーカーが全部できるわけもなく、これはシャープのPC-1246DB/1248DBを元にして作られた、一種のOEM製品なのです。

 幸いにして未組み立て品も手元にありますので、どんなキットだったのかじっくり見てみましょう。




 まずは箱。ページタイトルと機種のハイフンの入れ方が違ってますが、ページタイトルは本体表記に合わせてますので念のため。



 そして筐体とキーパッド。筐体にはあらかじめ液晶が取り付けられています。

 基板。「この袋から基板を出さないで下さい」とあるように、注意書きの内側はアルミホイルでできています。出すなという割に下の方がはみ出ているのは、ここが数少ないハンダ付けポイントで、取り出さなくても作業ができるようにしてあるわけです。ここには抵抗と圧電ブザーのリード線を取り付けるようになっています。

 まぁ「取り出すな」と言われると取り出したくなるのが人情ってもので、CPUチップがある面を見てみました。上の写真とは裏返しになります。右の黒いのは外部接続用の11ピンコネクタ。黒いのがCPUチップで、コネクタとの間にあるパターンがSRAM取付用のパターンでしょう。ここには6264相当のチップがつくはずです。CPUチップの左にある丸いのはボタン電池の端子です。


 専用ケースと細かい部品の袋。袋には抵抗、圧電ブザー、電池蓋などのほか、上の基板と液晶部をつなぐゴム端子、糸ハンダ、ボタン電池も入っています。

 組み立て説明書と取扱い説明書。組み立て説明書はさすがに学生向けだけあって丁寧に書かれてあります。筐体側についている液晶をうっかり外したときのために、その取り付け方まで載せてあります。
 取扱い説明書は普通のマニュアルです。BASICの命令などが一通り書かれてあります。こちらには機種名を「PC-Λ2KB」などと書いてますね。間違ってはないんですが…。


 オプションとしてシャープ純正のプリンタなどもリストされているので、セットしてみました…冗談のようにはみ出ていますが、このプリンタ&データレコーダ(CE-125)の色違い後継機種CE-125Sもオプションに指定されていますので、これはこれで正しい使い方なのでしょう…。

 まぁしかし、学生にとっては自分で組み立てるキット教材ってものすごく楽しいんですが、組み立てる過程で何を学んだかと問われると、特に挙げるものも思いつかなかったりするんですよね…。ましてや、部品点数が少なく、最重要部品はすでに取り付け済みでハンダ付けするのはさして大きな意味もない細かい部品だけ、というようなキットでは学生に組み立てさせるのって単なるコストダウン目的なのではないかと思ってしまうんですが…。

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