Millenium G400 MAX / Matrox
Graphic Acceralation Chip:MGA G400 MAX / Matrox
RAM:SGRAM 32MB
Port:AGP (32bit 66MHz 4x 3.3V)
動作確認マシン:PC/AT互換機(S1837UANG Thunderbolt)
Millenium G200に続くMatroxのMillenium Gシリーズ第2弾となったMillenium G400の高クロック版。
要するに、同時期のnVIDIAの対抗チップであるRIVA TNT2がG400対策として繰り出してきたRIVA TNT2 Ultraに対抗する目的で発表された製品であり、コアクロックが126MHzから150MHzに、メモリクロックが168MHzから200MHzに、そしてRAMDACのドットクロックが300MHzから360MHzにアップし、これに伴ってチップに空冷ファンが搭載された以外の仕様は基本的にオリジナルのG400に準じる。
只、MAXについては内蔵RAMDACに加えて外付けRAMDACを追加する事で実現した、いわゆるDual Head対応のSGRAM32MBモデルしかなかった様で、筆者が使ったのもこのタイプであった。
借り物でチェックした程度なので、この製品についてはあまり多くを語れないのだが、筆者が使用してみた範囲ではオリジナルのG400同様にドライバ、特にNT 4.0ドライバの出来が宜しくなく、本来チップのスペックや潜在性能を考えればトータルでは凌駕していなければならない筈のSPECTRA 5400 Premium Editionに少し及ばない程度の性能しか出なかった事と、画質が例によってMatrox系特有の“作られたシャープネス”とでも言うべきものであった事のせいで、正直言って筆者には良い印象が無い。
無論、Matrox製チップの特徴である2DのGDI描画の高速さにはやはり感嘆させられたし、3D描画も同時期の物としてはかなり高レベルにあった事については認めるに吝かではないが、如何せんドライバが簡単に青画面を出したのでは、如何なる好意も抱き様が無かった。
但し、その後随分ドライバは改善が続けられた様で、以後その手の話は聞かなくなったのだが、真に恐るべきはこのカードが2002年までMatroxの最上位カードであり続けていたという事で、99年夏の登場からこのかた約2年半の間に登場した、G400のシュリンク版であるG450も、その後継として登場したG550も、共に(特にメモリの)コストを重視してこのG400 MAXを上回る性能を発揮するレベルには到達していなかったのである。
まぁ、流石にMatroxもそれでは駄目だと分かっていた様で、新フラグシップとしてDirect X9対応を謳うParhelia-512を2002年に発表したが、これは3D周りの実装がかなりアンバランスで、Direct X9のVertexShader 2.0を満たすジオメトリエンジン(もちろんDirect X9対応。なお、これでエミュレーション出来るのでDirect X7世代のハードウェアT&Lエンジンは実装されていない)と、PixelShader 1.3相当のピクセルシェーダー(つまりPixelShader 1.4を満たすATiのRADEON 8500/9100を下回る機能実装という事で、この部分に限ればDirect X8.0対応が精一杯である)を備えるという中途半端な構成で、伝統のマルチディスプレイ用途では非常に強力(ちなみに、このマルチディスプレイ用途で使う事を目的として、64bit PCI対応版というある種の人々には非常に有り難いバリエーションモデルが提供されている)だが、その高価さも含めて世間一般の常識からはややかけ離れた仕様となってしまっている。
G400登場以後、ライバルであるnVIDIAはRIVA TNT2からGeForce256、GeForce2、GeForce3、GeForce4、GeForceFX、それにGeForce6と急激にチップの高性能化を押し進め、もう一方のライバルであるATiもRAGE PROからRAGE128、RADEON(R100)、RADEON 8500(R200)、RADEON 9700(R300)、RADEON 9800PRO(R350)、RADEON 9800XT(R360)、そしてRADEON X800XT(R420)と狂った様にチップの3D描画性能を上げてきている事を思うとこの世間離れっぷりにはかなり不安が募る所であったが、果たしてその後Matroxはヴィデオ編集方面や医療機器方面にその注力先を移し、コンシューマ向けグラフィックカード市場からは事実上撤退という結果となっている。
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