SPECTRA X20 / Canopus
Graphic Acceralation Chip:GeForce3 (Nv20) / nVIDIA
RAM:3.8ns DDR SDRAM 64MB(460MHz 256bit)
Port:AGP (32bit 66MHz 4x 1.5/3.3V)
動作確認マシン:PC/AT互換機(S1837UANG Thunderbolt、MS-6508 860D Pro + MS-6942)
2001年7月に出荷開始された、同時点でのSPECTRAシリーズ最上位モデル。
SPECTRAシリーズとしては前作8800に続く製品で、同カードに搭載されていたGeForce2 UltraをGeForce3に置き換えたものと考えると判りやすい。
GeForce3そのものについては、ご存じの方も多いかと思うが、これはMicrosoftの初代X BOX向けにnVIDIAが提供したグラフィックコントローラ統合チップセット(NV2A。後のnForce2シリーズの基本ともなった)のグラフィックコア相当品で、DirectX 8にネイティブ対応する初のPC向けグラフィックチップでもあった。
更にこれは、Lightspeed Memory Architectureという大仰な名称が与えられたメモリアクセス高速化技術(具体的には内蔵メモリコントローラの4並列化とこれらのクロスバー接続によるアクセス性能の引き上げ、およびZバッファ圧縮および隠面ピクセルのレンダリング省略によるメモリ利用効率向上)と、HRAA(High Resolution Anti-Aliasing)と称するフルシーンアンチエイリアス描画の支援機構、それにnfiniteFX Engineと呼ばれるプログラマブルなVertex Shader+Pixel Shaderユニットの搭載で、前世代(GeForce2シリーズ。広義にはGeForce4MXも含む)までとは1線を画する内容を備えており、以後のGPUのあり方を予言する、あるいは3Dグラフィックチップの歴史における一つの区切りとなった、重要なチップである。
本製品の場合、このGeForce3の性能を引き出す上で重要なVRAMの定格駆動速度は、GeForce3チップ側の定格通り前作と同じ230MHzのDDR動作で460MHz相当のまま(但しチップそのものについては2ランク上の263MHz品(前作8800は250MHz品)搭載)であるが、それでも前述のメモリコントローラ回りの改善がかなり効いており、相応の高速化を実現している。
また、このカードについては例によってSSH(Signal Super Highway)、DFS(Dual Filter System)という二つの高画質化技術に加えてAPS(Advanced Power Supply)と呼ばれる安定化電源回路(今回更にブラッシュアップが図られAPS 3.0となった)が搭載されており、更に変則6層基板の採用による信号インピーダンス管理の徹底もあって、他社製同チップ搭載機種や同時期のライバル製品(RADEON 8500など)、あるいは前作SPECTRA 8800と比較しても1ランク以上の高画質アナログRGB出力を実現しているのが最大のメリットであり、以後のチップの進化でGeForce3チップそのものの3D描画性能が相対的に陳腐化してしまった現在においても、この面における優位性は失われてはいない。
ちなみに本製品のGPUクーラーは、前作同様にGPUのみならず基板上のメモリを合わせて冷却すべく、インタークーラーブレードと称する大型の銅製放熱板を各チップを覆い隠すように貼り付けて、その上に松下製動圧流体軸受ファン(Firebird G2と称する、2方向に吹き出す特注品が採用されている)が搭載されるという特徴的な設計となっている。
なお、これは余談であるが、本製品は2001年冬にGPUをGeForce3 Ti500に置き換えてSPECTRA X21としてリニューアルが図られたが、その際GPUチップ以外はメモリも含めほぼそのままで流用(但し、メモリの定格動作ロックは250MHzのDDR動作で500MHz相当に向上)されており、本製品が備えていた性能面でのマージンがいかに大きかったかを物語っている。
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