SPECTRA 8800 / Canopus
Graphic Acceralation Chip:GeForce2 Ultra (Nv15BR) / nVIDIA
RAM:4ns DDR SDRAM 64MB(460MHz 256bit)
Port:AGP (32bit 66MHz 4x 1.5/3.3V)
動作確認マシン:PC/AT互換機(S1837UANG Thunderbolt)
2000年晩秋に出荷開始された、同時点でのSPECTRAシリーズ最上位モデルで、Canopus製各種カードの基板それぞれに与えられている固有の型番ではS15-AG-004。
2500/3200・5400/5400Premium Edition・7400・7400DDR・8400と続いたSPECTRAシリーズの系譜に連なる製品で、nVIDIAの言う第2世代GPU(Graphic Processing Unit)であるコアクロック250MHzのGeForce2 Ultraに、定格メモリクロックは230MHz(DDRで460MHz動作)だが敢えて250MHz動作品(DDRで500MHz動作)を奢られたDDR SDRAM 64MBを組み合わせた、非常に高価(発売時の実勢価格が6〜7万円もした)なハードウェアT&L処理機能搭載グラフィックカードであった。
これは当初GeForce2 GTSを搭載するSPECTRA 8400の64MB版として発売予告されていたものであるが、予想以上に間を置いて実際に発売される段階では、実装グラフィックチップがGeForce2 GTSではなく、後日nVIDIAから追加発表されたその高クロック版であるGeForce2 Ultraに置き換えられていた。
良く知られる様にこの当時のCanopusはチップメーカーであるnVIDIAから提供されるリファレンスカードの設計をそのまま利用せず自社で大幅に手を入れて製品化していたから、恐らくSPECTRA 8800の製品化予告が出た直後位のタイミングでGeForce2 Ultraの情報あるいはサンプルチップを入手して設計を練り直したのではないかと思われる。
この製品の基板は、SPECTRAシリーズの通例通り他社が先行発売したGeForce2 Ultra搭載カードとはまるで異なる、同社の開発チーム(この製品以降、G.I.Works(Graphic Innovation Works)の名称が与えられた)が独自設計したもので、SPECTRA 5400 Premium Editionから採用されたSSH(Signal Super Highway)、DFS(Dual Filter System)という二つの高画質化技術に加えて、電力消費の大きなGeForce 256を搭載するSPECTRA 7400以降標準搭載される様になったAdvanced Power Supply 2.0と呼ばれる非常に高品位且つ強力な安定化電源(正逆両相のレギュレータを搭載してあり、AGPではなく、PCの電源ユニットから直接電力供給を受ける)が組み込まれた、少々大柄なものとなっている。
また、基板上に搭載された電解コンデンサには、非常に高価だが背が低く高性能・長寿命な三洋のOS-CON(Organic Semiconductor Condenser:有機半導体コンデンサ)が大量投入されており、性能の為にはコスト面で妥協しない姿勢を貫いている事が判る。
果たしてその手間の甲斐あってこの製品の画質は非常に良好で、同じく高画質でもって好評を得ていたSPECTRA 5400 Premium Editionと比べても、明らかに画質が向上しているのが見て取れる程である。
DirectX 7世代のGPUという事で性能面では今や完全に陳腐化してしまったが、腐っても当時のCanopusの最上位機種だっただけあって、その基本性能や画質は未だ優秀な部類に入るから、ヘビーな3Dゲームをプレイしないのであれば今でも十分実用になるカードである。
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