Power Window 968 / Canopus


Graphic Acceralation Chip:86C968-P (Vision 968) / S3

RAM:60ns Dual Port DRAM 2MB(増設モジュールにより最大4MB)

Bus:C Bus (16bit 10MHz)

動作確認マシン:PC-H98 model U105-300


 1995年に発表されたS3の86c968“Vision 968”を搭載するCバス対応グラフィックボード。

 これは恐らく当初はPower Window 964LBに対応するCバス版として企画されたものと思われるが、Video for Windowsへの対応の問題から86c964は早期に生産が打ち切られて86c968に置き換えられてしまっており、その関係で一番先行したMLバス版がCanopusの確保した86c964をほぼ使い切ってしまったらしく、開発スケジュールが後回しになっていたPCIバス版(NEO ACCELERATOR SYSTEMとして少量生産ながら日の目を見た様だ)とCバス版(当時のCanopusの命名ルールに従えばPower Window 964となった筈である)は発売が断念され、これらについてはそれぞれ代品として86c968搭載モデルが用意されている。

 このPower Window 968はその曰く付きの86c968搭載Cバス版製品で、基本設計はバスブリッジチップ(自社開発と思われるST298(STandard to 98の略か?)というチップを搭載している)を介するバスコネクタ周りを除き、姉妹機種となる筈であったPower Window 964LBに準じるが、開発スケジュールが遅れたおかげでRAMDACはドットクロック135MHzのTVP3025-135から175MHzのTVP3026-175へ、VRAMチップは70nsの2MBit品8枚実装から60nsの4MBit品4枚実装へ、と性能に響く部分のスペックや仕様が変更されており、Cバス接続故の速度低下を補いきれる程ではないにせよ、Cバス版の前作に当たるPower Window 928に比してそれなり以上の性能向上を実現している。

 只、メモリチップ周りの仕様が異なる為に増設メモリモジュールは964LBと仕様が異なっており(形状は良く似ているが取り付けが物理的に出来ない設計となっている)、同一モジュールの使い回しは出来なくなっている。

 Power Window 964LBが「MLバス対応グラフィックボード中最強」との評を得たのと同様、この968は「Cバス対応グラフィックボード中最強」と評されており、画質・スピード共にこの時期のこの種の製品としては水準を遙かに超える出来である。

 唯一問題があるとすればそれは、文中でも述べた増設2MBモジュールの入手が非常に困難である事で、ネットオークションでは時折新品価格を上回る程の高額で取り引きされている程である。

 無論、今の基準で言えば鈍足なカードで、恐らくPC/AT互換機しか使った事の無いユーザーには理解出来ない事だと思うが、Cバス対応グラフィックボードとしてはこれ以上の選択肢が無いのも確かで、であればこそのこの高額取引なのである。


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