PC-9821As3/U2内蔵グラフィックアクセラレータ / NEC


Graphic Acceralation Chip:86c864 (Vison 864) / S3

RAM:DRAM 2MB

Bus:Mate A Local Bus (32bit 33MHz)

動作確認マシン:PC-9821As3/U2


 NEC製PC-9821As3/Ap3に標準で実装されていたグラフィックアクセラレータで、先行したMate X初代のXs/XpやXnにも同等の回路が搭載されている。

 As3/U2を所有していた後輩宅で確認。

 先代モデルであるAs2/Ap2/AnではWindowsモデルの普及機に限ってモジュール形式のグラフィックアクセラレータが搭載されていたが、As3/Ap3ではWindowsの普及やコストダウン、あるいはこの機種の場合従来機からの買い換えが多い事を考慮してか、フロッピーディスクドライブのみのモデルについても標準でグラフィックアクセラレータが搭載される様になった。

 このシリーズに搭載された86c864は、あのPower Window 964LBに搭載された86c964の下位モデルで、964が高速だが高価なデュアルポートのVRAM対応であったのに対して、廉価なシングルポートのFast Page DRAM対応となっているという以外はほぼ同等の、かなり高速なチップであった。

 多少の性能低下はあったが、メモリに集積度が高くて実装が楽で、しかも安価なFP-DRAMが使える事の効果は余程大きかったらしく、前作ではスペースの関係もあって1MBしか積めなかったRAM容量が2MBに増量され、フロッピーディスクドライブのみ搭載のモデルにまでこのグラフィックアクセラレータを標準搭載出来る様になった。

 また、NEC純正という事で高速性より安定性に振ったチューンであったにもかかわらず、その描画性能はデュアルポートのVRAMを搭載するPower Window 928IILBクラスに負けない、相当なレベルに到達しており、ようやくRAMが2MBになった事もあって、As3/Ap3ではPower Window 964LBかPC-9821A-E11を入れるのでない限り拡張グラフィックボードを挿すと標準状態よりも性能が低下する、という前代未聞の状況が出来している。

 デュアルポートメモリ対応で高速とは言えども所詮32bitバスアーキテクチャの928と、低速なシングルポートのメモリであっても64bitバス化された864とでは、コアの設計時期が新しい分だけ864が高速であっても何ら不思議はないのだが、何を考えたか標準で使用可能な画面モードに15/16bitカラーモードが無いなど謎な仕様で一杯のNEC純正ドライバを用いるこの機種が、同一条件下でCanopusがチューンしたドライバで駆動されるPower Window 928IILBを凌駕する程の性能を出した事には当時驚いた記憶がある。

 ちなみに、念の為にこのAs3にPower Window 928IILBだけではなくPower Window 964LBを挿してベンチマークテストを行ったりもしてみたのだが、意外な程に性能差は少なく、只ひたすらに964LBの画質が良かった事と、NEC純正864用ドライバの画面モード数の少なさが目立った程度であった。

 この事から、やはりオンボード実装だけに拡張スロット用ボードでは不可能な回路/ドライバの工夫(オンボードの場合、不安定なローカルバスでも格段に電気信号的に安定する為、マージンとして用意してあるアクセス時のウェイト挿入等を最小限に抑える事が出来る)があったものと推測される。

 当然、この時期のチップであるから未だRAMDACは外付けであるが、いかんせんマザーボード直付けという事で、画質は悪くはないが素晴らしく良いという訳でもない、というレベルに留まってしまっているのが惜しまれる。


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