WGP-FX16N / MELCO(BUFFALO)
Graphic Acceralation Chip:Voodoo Banshee / 3Dfx
RAM:8ns SGRAM 16MB
Bus:PCI Rev.2.0 (32bit 33MHz 5V)
動作確認マシン:PC-9821Xv13/W16、PC/AT互換機(S1837UANG Thunderbolt、SUPER PIIIDME、S2460 Tiger MP)
3Dfx初の2D描画機能内蔵グラフィックアクセラレータチップであるVoodoo Bansheeを搭載した、PC-98シリーズ用PCIバスグラフィックカード。
姉妹モデルとして、PC-98対応でSGRAM 8MBのWGP-FX8N、PC/AT互換機用でSGRAM 16MBのWGP-FX16、そして同じく8MBのWGP-FX8の3機種が存在する。
このカードは同時期に発表されたI-O DATAの競合製品(GA-VDB16/PCI)とは異なりPC-98専用BIOSが書き込まれているので、当然このままではPC/AT互換機では使えない・・・筈だったのであるが、実際にはWGP-FX16と共通の両用BIOSが書き込まれており、PC/AT互換機でも特に問題無く動作した。
では何故にAT互換機と98でパッケージが分けられているのかと言えば、これは単純に添付ドライバの相違(それ故か同社のインターネットサイト上ではPC-9821版NT4用のドライバが公開されていない)によるものであった様だ。
搭載チップのVoodoo Bansheeは世代的にはRIVA TNT(初代)と同時期の製品であり、実効速度でも一応TNTと同等の性能が得られているが、カード自体はCanopusのきめ細やかな造りのカードを見慣れた目にはいかにも安作りな部分が目立ち、同梱されていたドライバの完成度(よりにもよってWindows 98用の完成度が一番低い)その他で競合するI-O DATA製品に劣る面があったから、安価さ、あるいは同梱されるゲーム(F-22)にメリットを見い出すべきカードであろう。
個人的には、必要のないゲームを同梱する位ならばPC/AT互換機版とPC-9821シリーズ版の両方のドライバを同梱してくれた方が使い回しが利く分余程有り難いと思うのだが・・・。
ちなみに、基板設計自体はメルコオリジナルではなく、ほぼ3dfxのリファレンス設計のまま(電源関係が少し違う様だ)らしく、それ故かNTSCビデオ出力用VGAエンコーダチップ(Rockwell製Bt869)搭載用パターンが残っていたりしているのだが、画質的にはアナログ回路、特にRGB信号のフィルタ設計が甘いかそれとも実装部品が品質の良くない安物であるらしく、フォーカス・発色共にあまり良好とは言い難い。
ただ、このフィルタを外して信号をバイパスすると、格段に画質が向上し、同チップ搭載でこちらはオリジナル設計基板のGA-VDB16/AGPと比較しても上回る程の画が出る様になったので、フィルタ部分以外のアナログ設計はかなり良好であったと考えられ、その辺の詰めの甘さがこのカードの全体的な評価を下げていた様に思う。
なお、ドライバの完成度の低さはどうも3Dfxの供給したリファレンスドライバ自体の問題(各社のBanshee搭載カードのみならず本家のVoodoo 3系でも揃って同じ問題が発生する)でもある様なので、一概にMelcoを責めるべきではないだろう。
寧ろ、ローカライズというのか日本のアプリケーション(何故かアダルトゲームが多い(笑))との間に発生する相性問題については同社は地道に修正作業を行っていたので、その点では大いに評価出来る。
こんなカードでも選択肢が市場に存在するというのは重要な事であって、PC-98向けグラフィックカードを支えた一方の雄の代表機種として、競合製品であったGA-VDB16/PCIが生産終了となった後も長期に渡って現行機種であり続けた、このカードの存在はもっと評価されて然るべきであろう。
ただ、幾らリファレンスと同等品とはいえ搭載冷却ファン(SUNON製)の耐久性が低く、1年も使えば壊れて止まってしまう事だけは何とかして欲しい所ではある。
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