ULTRA2 SCSI CARD 2930U2 (AHA-2930U2) / Adaptec


インターフェイス:Ultra 2 Wide SCSI (68pin LVD 80MB/s) / Ultra SCSI (50pin SE 20MB/s)

転送モード:Bus Master

Bus:PCI Rev.2.1 (32bit 33MHz 3.3/5V)

SCSIコントローラ:AIC-7890 + AIC-3860 / Adaptec

対応機種:PC/AT互換機

動作確認マザーボード:WinFast K8NW Pro


 AHA-2940U2Wの普及版に当たるPCI対応のUltra 2 Wide SCSIカード。

 このカードはチップ構成は2940U2Wと共通だが基板自体は新規設計で別途起こされており、内部接続が68ピンのLVD/SEコネクタと50ピンのSEコネクタがそれぞれ1つずつ、外部接続は50ピンのSEコネクタが1つ、と2940U2Wと比べて格段にシンプルになっている。

 構成はシンプルだが一般的なSCSI機器の利用状況(この時期SCSIを使用する事が既に一般的ではなくなりつつあったのではないか? という指摘はこの際置いておく)を考えるとこれで充分で、その意味ではこれはAHA-2940U2Wの普及版と言うよりはむしろ最適化版と言った方が正しいかも知れない。

 実際、このカードだけを使用する際に本当に困るのは、PlextorのPX-40TSUWやTEACのCD-532SのWideモデル(ごく少数だがOEM向けとして提供されていた事が判明している)といったLVD対応の上位機種が存在しないUltra Wide SCSI対応デバイスとUltra 2 Wide SCSI以上のLVD動作するHDD等を同時に接続して使用したい場合に限られ、PX-40TSUWもCD-532SのWideモデルも共に世間ではおよそ一般的な製品では無かった事を考慮すると、このカードで困るケースというのは無いに等しい。

 あるいは記憶力の良い方ならば、以前私がSCSIバスについて同じ構成のCHANPON3-PCIで50ピンSEコネクタの代わりに68ピンSEコネクタが付いていた方が良かった、と書いていたのを憶えておられるかと思うが、あちらには98での利用時に他の選択肢が無いのに対し、こちらにはAHA-2940U2Wというその要求を完全に満たす上位機種があるから、68ピンSEコネクタが欲しければそちらを選べばそれで済む話なのである。

 さて、このカードの性能についてだが、BIOSが一応専用品となっているが、基本的にはチップ構成がAHA-2940U2Wに準じる為、性能面でも特に変わるところがある訳ではなく、同様にHDDをえり好みせずどの会社の製品でもそつ無く高速動作する、非常に優秀なカードという印象がある。

 上位にUltra 160/320 SCSIが存在する現在では今更、という感想もあろうが、例えば50ピン外付けCD-R/RWドライブと68ピンUltra 2 Wide SCSI対応DDS3/4ドライブをバックアップ用途等で併用している様な場合には、今や中古でもかなり価格の低下したこの製品やAHA-2940U2Wが便利に使えると思うし、またSCSIの高速HDDでも1台だけ接続するケースならばそれなりの速度が得られるので、これらのカードでも実用になるだろう。

 逆に言えば、LVD対応でも最新のUltra 320 SCSIに対応するHDDを複数台つないで使うにはかなり厳しいという事であるが、32bit 33MHz PCIスロットに挿して使う分にはどのみち133MB/s(実の所他のデバイスがPCIバス上に複数ぶら下がっている状況では80MB/sの帯域を確保するのもかなり厳しい)以上の転送レートは確保出来ないので、そういったマシンでどうしてもその種の高速HDDを使用したい場合(但し、それが余程特殊な状況である事は確かである)には、わざわざ高価なUltra 160/320 SCSIカードを用意する必要はなく、このカードでも充分事足りるだろう。


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