AUDIOPHILE 2496 for PCI-X / M-AUDIO


Bus:PCI Rev.2.2 (32bit 33MHz 3.3/5V)

サウンドコントローラ:VT1712BBABA ENVY24 / VIA/ICEnsemble + CS8427-CS / Crystal Semiconductor + AK4528VF / AKM

対応機種:PC/AT互換機・PCIバススロット搭載Power Macintosh

動作確認マザーボード:S2885ANRF-T Thunder K8W


 2004年5月に購入した、96KHz 24bit SPDIF同軸入出力・2chアナログ出力・PCI-X対応の低価格オーディオカード。

 搭載チップのVT1712 ENVY24は2002年4月にVIAの傘下に入ったICEnsembleが1999年に発表したICE1712にVIAが与えた型番で、20ch 36bitのデジタルミキサー、同時16ストリームDirectSoundアクセラレータ、12chずつの入出力ポート、2chのMPU-401互換MIDIポート、それにSoundBLASTER pro互換機能といった機能を搭載している。

 当然ながらこれらの機能はそれを有効にするドライバとその入出力をサポートするCodecやインターフェイスが実装されていて初めて有効になるものであって、このカードの場合は入出力ポートはRCA同軸コネクタによるアナログステレオ入出力各1セットと専用ブレイクアウトケーブルによるSPDIF同軸入出力(RCA同軸コネクタ)1セットおよび1chのMIDI入出力、とかなり機能限定した形になっている。

 これは、このカードがオーディオカードとしてはローレンジの価格帯の製品である事にも理由があるが、現実的な問題として1枚のカードで収まる範囲で設計するとなると、アナログ入出力の音質の問題も勘案すれば現状の構成が最善と判断される為である。

 但し、音質優先と言ってもコストの問題や接続可能DACの性能や特性の問題がある為にDIGI96/8PSTクラスに匹敵する程の高音質化は望むべくもなく、確かにそこらのサウンドカードとは比べものにならない位には高音質だが、それでもASIOドライバで出力してDIGI 96/8 PSTクラスと比べた場合、明確に落ちる事が判るレベルの音しか出ていないのは確かである。

 このあたりの「音」についてはかなりデリケートでしかも個人的な主観も入る為に評価がなかなか難しいのだが、筆者個人の意見としては、これは「良くできたサウンドカード」レベルの音であると思う。

 このカードの場合、音以前にPCI-Xスロットにも挿せるという大きなセールスポイントがあるのだが、それとてPCI-Xスロットにこのカードを挿すと同じバス上のPCI-X対応高速デバイスが強制的に33MHz 64bit転送のPCI Rev2.x互換動作に性能ダウンさせられるというのは手放しで喜べない話で、正直これを何の考えも無しに「PCI-X対応」と銘打ってしまうのはいかがなものかと思う。

 今更ここで書く様な話ではないのだが、PCI-Xバスは本質的には3.3Vで66/100/133MHz駆動の64bitバス(その他にも色々高速化の為に手が加わっている)で、互換性維持の為に33/66MHz駆動の3.3V PCIデバイスも動作可能となっているが、その場合はただのPCI 2.x互換バスとして振る舞うから、PCI-Xスロットに挿してもこの状態(それも最低速の33MHz駆動)でしか動作しないカードをPCI-X対応と呼んでしまうのは多分に詐術めいた話である。

 このカードをPCI-X対応と呼んでいいのならば、SoundBLASTER Live!のCT4870以降及びSoundBLASTER Audigy/Audigy2シリーズやAU88x0搭載カードといった3.3Vスロットで動作する各カードもそう呼ばれる資格があると言う事で、それらのカードがそう称していないという事はつまり、このカードもそう呼ばれる資格が無いという事である。

 いささか厳しい書き方になったが、これは筆者を含む複数の人間(いずれもPCI-Xスロットを搭載している様なマザーボードの愛用者である)がこのカードの発表時に“for PCI-X”であると聞いてまず例外なく“PCI-Xスロットで他の高速デバイス搭載カードの足を引っ張らない=66/100/133MHz駆動で動作する”と考えた為で、“for G5”とでもしていればまだしも許せたのだが、という意見もあった。

 恐らくM-AUDIOの側としては大きなコストアップにつながる設計変更は避けたかったのだろうが、“for PCI-X”という事に重要な意味を見出す質のユーザー層がその種のコストアップに比較的寛容で、しかもそれしか選択肢がないとなれば手段を選ばない人種である事を考えると、同社は実は非常に大きな商機を逸したのではなかろうか?等と思ってしまう。

 それはともかく、総合的にはこれは値段相応の出来のカードで、ASIOおよびWindow MME以外にDirect Soundをサポートしている事を考えるとハイエンドサウンドカード的な使途が最適ではないかと思う。


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