Sound BLASTER Audigy2 ZS Platinum (SB0350) / Creative

Sound BLASTER Audigy2 ZS Digital Audio (SB0350) / Creative


接続バス:PCI Bus (32bit 33MHz 3.3/5V)

サウンドコントローラ:Audigy2(CA0102-ICT) / Creative

DAC:CS4382-KQ / CIRRUS LOGIC

ADC:STAC9721T / Sigmatel

対応機種:PC/AT互換機

動作確認マザーボード:S2865G2NR Tomcat K8ES2915A2NRF Thunder n6650W, K8N-DRE


 2003年8月に発売開始された、Sound BLASTER Audigy2の後継機種。

 基本的にはAudigy2で使用されていなかった、1ch分のアナログ出力(DACそのものは実装チップの仕様もあって当初より8ch分の出力をサポートしていた)を有効化し, S/N比を106dBから108dBへ引き上げた上で7.1chサラウンド出力へ対応したモデルである。

 ドライバレベルではDolby Digital / Dolby Digital EXに加え、DTS / DTS-ESデコーダーが実装されたのが特徴であり、Creative独自定義の拡張サウンドAPIであるEAXもAudigyのEAX ADVANCED HD 3.0からEAX ADVANCED HD 4.0へ進化(初期出荷時には未サポートで、後日ドライババージョンアップで実装された)している。

 基板レイアウトは先代に当たるAudigy 2 (SB0240)のそれをほぼ踏襲し、オペアンプなどのアナログ段が1ch増えた分の追加変更が実施されたに留まっている。

 機能・音質共に先代の正常進化モデルらしい仕上がりであり、それ以上でもそれ以下でもない、という印象であるが、当時のサウンドカード市場を見渡すと機能面で本製品に対抗しうる製品は事実上存在しなかったのも確かであり、Windows Vistaのリリースとそれ以降の音声出力機能にかかる大規模な仕様変更以前における、Direct Soundおよびその上位互換としてのEAXに特化したサウンドカードの一つの到達点であったと言えよう。

 事実、次代のAudigy 4(2004年12月発売)ではS/N比などのカタログスペック面での数値の向上は見られたものの、本質的にはこのAudigy 2ZSの、ひいてはその基本となったAudigy 2やAudigyのバリエーションモデルに過ぎず、Windows Vistaへの対応を睨んで2005年秋に発売されたSound BLASTER X-Fiシリーズのデビューまで、ゲーム用サウンドカード市場は3年に渡って技術的な停滞が続くこととなった。

 筆者としては久々の拡張ベイ付きPlatinumと光SPDIF入出力ボードが付属したDigital Audioを入手したが、Platinumの拡張ベイについてはその機能について特に感慨はなく、ただヘッドフォンアウトの音質が意外に悪いことが気になった程度であった。

 なお、このAudigy 2 ZSシリーズはCreativeのサウンドカード上位モデルでは最後の15ピンゲームポート対応モデルである。今更こんなポートを利用するユーザーもそう多くない気がするし、このポートはWindows 7でドライバサポートが無くなってしまった(Creative純正のドライバを入れても「不明なデバイス」状態が解消しない。当然ながらこれはAudigy/Audigy 2/Audigy 2 ZSシリーズの各モデル共通の問題である)から、いよいよ使用目的は限られるのだが、Windows XP以前で特殊なゲーミングデバイスを使用したい場合には、この端子が必須という場合もある。いかにもレガシーな代物だが、USBと比較して応答の遅延が出にくいという理由でジョイパッドなどの接続にこのポートを愛用する人々があったことは申し添えておく。


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