Sound BLASTER Audigy LS Digital Audio / Creative


接続バス:PCI 2.1 Bus (32bit 33MHz 3.3/5V)

サウンドコントローラ:CA0106-DAT / Creative + WM8746EDS / Wolfson + STAC9750T / Sigmatel

対応機種:PC/AT互換機

動作確認マザーボード:S2885ANRF-T Thunder K8W


 Sound BLASTER Audigyの廉価版として2003年秋にデビューしたカード。

 IEEE1394インターフェイスがオミットされ、メイン基板(SB0310)上にはD-Sub15ピンゲームポートが復活している為、カードそのものの印象は旧作Sound BLASTER Live!に近い。

 同封の光デジタルI/OブラケットはSB0001、つまりSound BLASTER Live! 5.1 Digital Audioに同梱されていた物と共通で、同封の説明書の記述によれば、日本向けパッケージのみこのブラケットが同梱されている様だ。

 これは言うまでもなくMDを中心にTOSLINK、つまり東芝が開発した光デジタル端子が異様な程に普及した我が国の特殊事情に配慮しての対応で、他の地域であればカードのブラケット最上部に設けられた同軸Digital Out端子(注1)を用いてデジタル入力対応のスピーカー等に繋げばそれで事足りるだけに、コスト面で不利でしかも拡張スロットを余計に消費するブラケットの同梱は出来ればしたくない、というのが恐らくはCreativeの本音であろう。

 さて、このカードのDACは上記の通りWolfsonのWM8746EDSで、24bit 96KHz 6chアナログ出力に正しく対応しているのだが、問題はADCの方で、事もあろうに単なる2ch AC'97CodecであるSigmatelのSTAC9750Tを搭載してお茶を濁してある。

 このSTAC9750TはADCとDACを共に内蔵しており、ADCは18bit 48KHzが、DACは20bit 48KHzがそれぞれ対応上限となるが、このカードではADCのみが利用されており、このカードの開発時点ではまだ7.1ch化は全く考慮されていなかった事が判る。

 無論、このSTAC9750TのDACを利用して7.1ch対応化したとしても音質が揃わず、周波数やビットレートの面でも問題が出るのでその様な構成を採る事はまず考えられまいが、ともあれこのカードのアナログ入力は対となるアナログ出力の品質と比較して考えると2ランクは落ちる(注2)訳で、いかに廉価版製品であり世間での実用上アナログ入力の利用頻度が低いにせよ、もう少し何とかならなかった物かと思う。

 このカードは良くも悪くも廉価版製品で、出力、つまり一般的な再生デバイスとして使う分には充分なクオリティと性能が期待できるが、一歩踏み込んで録再機器として使おうとすると途端に馬脚を現す(注3)ので、その機能や性能について過度の期待を抱かず割り切って使う必要がある。

 只、余計な機能を省いたお陰かこのカードのドライバの出来はまずまずで、初代Audigyの如き深刻な問題は発生していない様なので、この辺の機能サポートとドライバの完成度や安定度のバランスがかなり微妙なのは確かである。


 (注1):ステレオミニプラグ形式になっており、アナログ5.1ch出力時にはライン出力#3として切り替え使用される。

 (注2):初代Audigyでは24bit 48KHz入力に対応していたから、それと比べても1ランクは落ちる。アナログ入力がどうしてもノイズ源になりやすく、積極的にサポートしたくない気持ちは分からないでもないが、出力で24bit 96KHz対応を謳うからには入力も同等であって欲しい所である。あるいは、それが無理ならオンキヨーのSE-90PCIの様にアナログは出力専用のモデルがあっても良いのではないだろうか?

 (注3):それ故か、このカードのドライバでは初代でサポートされていたASIO対応がさりげなく削除されている。もっとも、上位機種であるAudigyやAudigy2系に搭載されているASIOドライバは色々挙動が変でかなり使い辛いから、ドライバの動作安定等を考えるといっそ無い方が正解なのかも知れない。


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