Sound BLASTER X-Fi Xtreme Gamer (SB0730) / Creative


接続バス:PCI 2.1 Bus (32bit 33MHz 3.3/5V)

サウンドコントローラ:X-Fi Xtreme Fidelity(CA20K1) / Creative

DAC:CS4382-KQZ / CIRRUS LOGIC

ADC:WM8775SEDS / Wolfson

対応機種:PC/AT互換機

動作確認マザーボード:S2895A2NRF Thunder K8WE


 2006年11月に発表された、Sound BLASTER X-Fi第2世代シリーズのLow Profile対応モデル。

 Low Profile対応というと前世代のAudigy系ではSound BLASTER Live! 24-bitの様にEAXの処理を支援するハードウェアを持たないチップを搭載した製品を思い浮かべてしまうが、この製品は通常形態のX-Fi系サウンドカードの機能のほぼ全てを実装(注1)しており、搭載コントローラチップも通常版X-Fiに実装されている物と同等となっている。

 強いて言えば、オンボード搭載されているPC166相当のSDRAMが上位機種の様な64MB実装ではなく、2MB実装に留まっている(注2)ことがハードウェア仕様面での重要な差異であるが、現段階では64MBのX-RAMと称するこのメモリはまともに有効活用されているとは言い難い状況である(注3)ため、これは特筆するほどの差異とはなっていない。

 但し、入出力関係はこれ以外の機種とはかなり異なった仕様となっており、アナログ出力機能はSound BLASTER Live! 24bitと同様に3接点のミニプラグを用いた3本のケーブルによる7.1ch出力対応、アナログ入力はミニプラグ形状の光SPDIF出力と排他使用となっているが、デジタル入出力については基板上に拡張用ピンヘッダが用意されている(注4)。

 また、Intel提唱のHD AUDIO規格において、マザーボード上のオンボードサウンド入出力の一部をフロントパネルへ引き回すためのピンヘッダと互換性のある、アナログ音声入出力用ピンヘッダが用意されているのもこのカードの大きな特徴である。

 このカードはDACが7.1ch 24bit 192KHz出力に対応するCS4382-KQZ、ADCも4ch 24bit 96KHz入力をサポートするWM8775SEDS、とSound BLASTER Live! 24bitに搭載されたDAC/ADCをRoHS対応とすべく鉛フリー化したチップを実装しており、オペアンプも全て4558Cを搭載するなどアナログ入出力の品質に関してはそちらとほぼ完全に同等の仕様となっている。

 従って、アナログ音声の品質や傾向はLive! 24bitに準じるが、X-Fiシリーズは総トランジスタ数が5,100万に達するX-Fi Xtreme Fidelity(CA20K1)チップを搭載(注5)し、そのDSPやミキサの処理能力および出力品質は格段に向上しており、またASIO 2.0がドライバでサポートされ、ビットアキュレートモードと称する入出力のデータが一致する状態での出力に対応するため、その実際の音質は動作モードにもよって多少変動するものの、総じて高いレベルに到達している(注6)ことが判る。

 X-FiはWindows用として提供されているドライバでは一般的な使用に適した「エンタテインメント モード」、ASIO入出力に特化した「オーディオクリエーション モード」(注7)、EAXの機能をフルに取り扱える「ゲームモード」(注8)の3つのモードを選択して使用する実装となっているが、その遷移はリアルタイムで行われ、ボリュームパネルもその設定変更に併せて動的に可変する様になっている。

 なお、このカードを大陸志向(Digital Cowboy)のPCI Express to PCI変換アダプタであるDCT-FUTA1と組み合わせて使用してみたところ、筆者のPC環境では正常動作を確認した。

DCT-FUTA1と組み合わせた状態。ブラケットは干渉を回避するため標準品での使用が望ましい。


 (注1):従って、EAXは最新の5.0までの全ての規格をハードウェアレベルでサポートしている。なお、本製品と同時発表でやはりLow Profile仕様のSound BLASTER X-Fi Xtreme Audioは搭載チップがLive! 24bitやAudigy LSに搭載されていたCA0106の系譜に連なるCA0111となっており、EAXはソフトウェアサポートのみとなる。なお、通常のSB0460系などでサポートされていてこの機種でサポートされていないI/Oは、SB0001光デジタルI/OブラケットおよびPC筐体のフロントHD AUDIO端子の併用、つまり本製品で可能な最大拡張状態を前提とするとX-Fi ドライブベイのMIDI I/Oおよびリモコン系、同軸SPDIF I/O、それに2系統目のマイク入力程度に止まる。筐体側の対応と、単体での入手の面倒なオプションパーツの併用を要するとはいえ、Low Profileのカードでこれだけの拡張性が確保されていることは評価に値しよう。

 (注2):基板上には部品面と半田面の双方に未使用のメモリ用パターンがあり、必要があれば64MB実装モデルの製造も不可能ではない仕様となっている。

 (注3):対応ソフトのタイトル数がごく僅かで、しかも現段階ではそれらにおいてさえ十分なパフォーマンスが得られているとは言い難い。

 (注4):フルサイズのX-FiやAudigyシリーズ上位機種に実装されている同名端子と共通設計である。なお、SPDIF_IO端子のピンレイアウトは以下の通り。
  1 2
  3 4
  5 6
  7 8
  9 10

 また、ピンアサインは以下の通り。
  1:+ 5V
  2:No Connect
  3:Ground
  4:Ground
  5:SPDIF In
  6:Ground
  7:Ground
  8:Ground
  9:SPDIF Out
  10:No Connect

 (注5 ):その集積度の高さと、100MHz以上、恐らくはチップの仕様通り166MHzでメモリバスを駆動していることが示す通りチップの発熱量は大きく、第1世代のX-FiではBGAパッケージが剥き出しであったが、第2世代ではヒートシンクが取り付けられている。

 (注6):少なくともSPDIF出力された音声信号をEsoteric D-30で変換した場合の音質で比較すれば、一聴して3世代前に当たるSound BLASTER Audigy 2 ZSを明らかに上回る品質が得られている。

 (注7):このモードではWindows MMEによる通常の音声入出力はカットされる。このため、このモードで起動した場合、Windows MMEの下での入出力デバイスとしてこのカードを使用するには一旦「エンタテインメント モード」に変更して再起動する等の措置を行う必要がある。

 (注8):従来のEAX ADVANCED HD 4.0に代えて改良強化を施されたEAX ADVANCED HD 5.0がハードウェアレベルでサポートされており、対応アプリケーション上での128音同時再生などが実現している。


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