U3S6 / ASUSTek


インターフェイス:USB 3.0 + Serial ATA 3.0

Port:PCI Express 2.0 (x4)

USB 3.0コントローラ:μPD720200F1 / NEC

Serial ATA 3.0コントローラ:88SE9123-NAAD / Mavell

PCI Express to PCI Expressブリッジ:PEX8613-BA50B G / PLX

対応機種:PC/AT互換機

動作確認マシン/マザーボード:xw9300/CT,xw9400/CT,S2895A2NRF Thunder K8WES4985G3NR Thunder n4250QE


 2009年11月に発表された、USB 3.0 + Serial ATA 3.0の複合カード。

 それらのコントローラを単独搭載するカードは、現状ではPCI Express x1接続仕様であるのが一般的なのだが、それらはPCI Express 2.0の1レーンでなければ各インターフェイスで必要な転送帯域が確保できない。

 つまり、転送帯域が1レーンあたりPCI Express 2.0の半分しかないPCI Express 1.0にのみ対応するチップセットを積んだマシンにそうしたコントローラを搭載したカードを挿すと、本来の半分しか性能が発揮できないということになる。

 このカードの場合、ブリッジチップとしてPLXのPEX8613を搭載することで、4レーン以上のPCI Expressスロットに挿す必要はあるものの、PCI Express 1.0世代のチップセットでも、相応の転送性能発揮が可能となっている。

 より具体的には、ブリッジチップがPCI Express 2.0 x4で受けたデータをPCI Express 2.0 x1 4本に分配するという機能を持っていているのを利用して、PCI Express 1.0 x4で受けたデータをPCI Express 2.0 x1 2本分に再編して分配することが可能となっている。

 つまり、このカードを1枚挿すことで、幾ばくかのレイテンシの増大はあるものの、転送レートの点ではPCI Express 2.0 x1スロット2本にそれぞれSerial ATA 3.0とUSB 3.0のカードを1枚ずつ挿すのとほぼ同等の性能が得られるということになる。

 幸か不幸か、PCI Express 1.0世代のマシンやマザーボードではx8やx16のPCI Expressスロットが余計に付いている機種が比較的多かった。

 そのため、1本目のPCI Express x16スロットにグラフィックカードを挿しても、それとは別にこのカードを挿すことが可能な機種は(ことにSLIをサポートしていたnVIDIA製チップセット搭載機種を中心に)決して少なくない。

 このカードはそうした、USB 3.0ともSerial ATA 3.0とも無縁のPCI Express 1.0世代マシンの救世主とでも言うべきもので、ことにチップセットの更新が遅いワークステーション・サーバで最新のインターフェイスを使いたい場合には、非常に有用な製品(注1)である。

 なお、この製品は生産時期によってSATAコントローラーの機種が88SE9120のものと88SE9123のものが混在しているようで、それぞれのタイプのカード上のFLASHメモリに書き込まれたBIOSも異なっている。通常使用の範囲ではこれらを区別する必要は特にないが、BIOSを書き換える場合は別々のバイナリファイルとなるため、カード上のSATAチップの型番に特に注意されたい。


 (注1):ASUSTek製の複合カードでここまで多くの人に感謝され、また喜ばれた製品は、筆者の知る限りこれが初めてである。ブリッジチップの搭載はカードの生産コストを増大させる要因であるが、それを承知で搭載に踏み切ったこのカードは、発売から1年以上を経てなお唯一無二の存在であることから、ほぼ発売当初の価格ラインを維持したままとなっている。


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